2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ブログを始めた理由

今年は、2002年以来取り組んでいた仕事を初めての単著として出版できて、本当にほっとしました(→『英語の改良を夢みたイギリス人たち―綴り字改革運動史1834-1975』)。本当にほっとしたので、ようやく、数年来の懸案であった仕事用サイト(=このブログ)を…

『帝国・身分・学校―帝制期ロシアにおける教育の社会文化史』

『帝国・身分・学校 ―帝制期ロシアにおける教育の社会文化史―』(橋本伸也著、名古屋大学出版会、2009年)帝国・身分・学校―帝制期ロシアにおける教育の社会文化史―作者: 橋本伸也出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2010/01/20メディア: 単行本 クリ…

『シグニファイング・モンキー』

『シグニファイング・モンキー―もの騙る猿/アフロ・アメリカン文学批評理論』(ヘンリー・ルイス・ゲイツ・ジュニア著、松木昇、清水菜穂監訳、南雲堂フェニックス、2009年)の第一章「ある起源神話―エシュ・エレグバラとシグニファイング・モンキー(もの騙…

今年の映画

今年見た映画を書き出して、眺めています。学生さんにお勧めしたい、おもしろかった映画を3本選ぶならー『[[サンシャイン・クリーニング]]』 優等生気質の姉と困った妹もの。ちょっと変わったビジネス模索とか、友達との微妙な勝ち負け意識とか。 『この自…

七面鳥と『ブリジット・ジョーンズの日記』

毎年クリスマスには七面鳥の丸焼きをしますが、とうてい一日では食べきれないので、そのあと数日はのこりの肉を削って食べています。コールドミートで食べたり、カレーにしたり。七面鳥カレーといえば思いだすのが、『[[ブリジット・ジョーンズの日記]]』(B…

『ジュリー&ジュリア』

『[[ジュリー&ジュリア]]』Julie and Julia(ノーラ・エフロン監督・脚本、2009年)を見ました。異なる時代に生きた実在の二人の女性の人生が、料理を通じて交わる話。一人は、外交官の夫の赴任先パリで、1940年代末にコルドン・ブルーに通ってフランス料理…

『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』と気になった綴り

先日、子どもと一緒に『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』(西崎義展監督、2009年)を見てきました。子どもにとっては、「ヤマトって、人の名前?」というような未知の領域ですが、私は映画館に『ヤマトよ永遠に』を見に連れて行ってもらった世代です。さて、復活篇。…

『ダーウィンの悪夢』の英語

ゼミ(国際文化演習)で、映画『ダーウィンの悪夢』(Darwin's Nightmare、フーベルト・ザウパー監督、2004)を取り上げて、タンザニアの英語を論じた発表がありました。映画では、スワヒリ語、ロシア語、英語が用いられています。ダーウィンの悪夢 デラック…

『幸せのセラピー』とメンターの発音

昨夜は『アバター』の先行レイトショーを見に行きたい!と思いつつ、諸事情により家でDVD。2007年の映画が、やや遅れて2009年6月に日本劇場公開された『幸せのセラピー』(Meet Bill, 2007, バーニー・ゴールドマン監督)を見ました。幸せのセラピー [DVD…

英作文の授業

やっぱり、個人指導は大事、と思った話ー。教養科目「英語C」(=英作文)の授業では、『New Easy Writing 新段階式実用英作文』(ポール・マクリーン著、マクミランランゲージハウス)を教科書にしています。各課ごとにテーマがあり、そのトピックについて…

『ウェールズの山』のウェールズ語

「英語学概論b」「言語文化論II」は、消滅する言語について。ウェールズ語の話をして、『ウェールズの山』The Englishman Who Went Up a Hill But Came Down a Mountain (クリストファー・マンガー監督・脚本、1995年)を紹介しました。ウェールズの山 [DVD…

言語学の新刊2冊

言語学の新刊2冊。はじめて学ぶ言語学―ことばの世界をさぐる17章作者: 大津由紀雄出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 13回この商品を含むブログ (6件) を見る『はじめて学ぶ言語学―ことばの世界をさぐる…

『農場の少年』の綴り学習

インガルス一家の大草原の小さな家シリーズ第5巻、『農場の少年』(Farmer Boy、ローラ・インガルス・ワイルダー作、恩地三保子訳)を、小学校低学年の息子たちに、ときどき読んでやっています。昔愛読していた本で、子どもたちにも自分で読んでほしいとこ…

『オーストラリア』とアボリジニーの英語

ゼミ(国際文化演習)で、映画『オーストラリア』Australia (バズ・ラーマン監督、2008年)を題材にして、アボリジニーの英語(アボリジナル英語)の特徴を論じた発表がありました。参考文献は、これまでに読んできたWorld Englishesの他に、『オーストラリ…

『イングロリアス・バスターズ』の多言語状況

『イングロリアス・バスターズ』Inglorious Bastards (クエンティン・タランティーノ監督、2009年)を見ました。ナチス党員を惨殺することを使命とする集団「イングロリアス・バスターズ」の話。タランティーノ作品なので、想定内といえば想定内ですが、グ…

『レインメーカー』@授業、冬休み前最後

「英語B」の授業では、映画『レインメーカー』準拠の教科書『映画「レインメーカー」で学ぶアメリカの法と社会』(濱田真由美、穐本浩美著、マクミランランゲージハウス)を使っています(→この日記やこの日記)。今日は最後から二番目のユニット11を。これ…

『ピジン・クレオール入門』と「ジャマイカ 楽園の真実」

「英語学概論b」「言語文化論II」でピジン、クレオールの話をしました。テキスト『社会言語学入門』(東照二著、研究社)pp.49-56に沿って話しました。また、『ピジン・クレオール入門』(ロレト・トッド著、田中幸子訳、大修館書店)の、第4章「発達過程―ピ…

『パブリック・エネミーズ』の英語めも

昨日見に行った(→こちら)『パブリック・エネミーズ』Public Enemies(マイケル・マン監督、2009年)の英語メモ。デリンジャー役@ジョニー・デップ 台詞に多重否定の俗語用法(=ひとつの文の中に複数否定を使っても意味は単純な否定)が多かったように思…

人気の映画

昨日は、学会・研究会の前に、午前中に『パブリック・エネミーズ』を見に行こうと思って、シネコンに出かけたら、二階のチケット売り場から階段を降りて、建物の外まで数百メートルつながる長蛇の列。いくらジョニデ人気といっても、これはないだろうと思い…

学会、研究会

午後、学会と研究会に参加しました。平成21年度京都府立大学国中文学会で研究発表を聴いたあと、神戸言語学研究会12月例会に参加しました。国中文学会で聴いた研究発表は「話法における『引用』」です。私が1998年に『京都府立大学学術報告 人文・社会』第50…

インド英語@『スラムドッグ・ミリオネア』

『スラムドッグ・ミリオネア』 Slumdog Millionaire ダニー・ボイル監督 2008年ゼミ(国際文化演習)で、インド英語の特徴を、『スラムドッグ・ミリオネア』のなかから具体例を見つけて紹介する発表がありました。スラム育ちのインド人青年が、クイズ番組に…

『歴史はもっとおもしろい』

『歴史はもっとおもしろい―歴史学入門12のアプローチ』福岡大学人文学部歴史学科編著 西日本新聞社 2009年第1章「書くこと、読むこと、話すこと―言葉の背後にある生活を想像する」を執筆された松塚俊三先生に頂戴しました。ありがとうございました。歴史は…

黒人英語@『フォレスト・ガンプ』

「英語学概論b」「言語文化論II」の授業で、「黒人英語 Black English Vernacular」について話しました。教科書『社会言語学入門』(東照二著、研究社)を使って、be動詞の使い方の特徴や、多重否定について説明したあと、『フォレスト・ガンプ』(1994)で…

スコットランド訛り@『ネバーランド』

映画と英語めも 『ネバーランド』Finding Neverland マーク・フォースター監督、2004年スコットランド英語(@『ゴスフォード・パーク』日記)つながりで、『ネバーランド』。スコットランド出身の劇作家ジェームズ・バリ(1860-1937)が、代表作「ピーター・…

訛りを騙る男@『ゴスフォード・パーク』

映画と英語めも 『ゴスフォード・パーク』Gosford Park ロバート・アルトマン監督 2001年 『近世ヨーロッパの言語と社会』の第一章「話を聞けば、どんな人物かが判明する」を読みながら(>読んだ日の日記はこちら)、映画『ゴスフォード・パーク』のことを思…

『脳内ニューヨーク』とトイレ話

映画と英語めも『脳内ニューヨーク』Synecdoche, New York チャーリー・カウフマン監督 2008年うーむ、予想に反してわたしにはちょっと難しい映画でした。ニューヨークの劇作家(フィリップ・シーモア・ホフマン)の、うまくいかない私生活と、作り上げる芝居…

『フリーダム・ライターズ』のスラング@ゼミ発表

映画と英語めも 『フリーダム・ライターズ』Freedom Writers リチャード・ラグラヴェネーズ監督、2007年1994年、ロス暴動直後のロサンゼルスの公立高校が舞台。さまざまな民族の生徒が対立し、学習意欲も低い荒れたクラスに、新任の英語教師エリン(ヒラリー…

『越境と内省―近代ドイツ文学の異文化像』

『越境と内省―近代ドイツ文学の異文化像』 (松村朋彦著 鳥影社 2009年) 帯の言葉「ヨーロッパ、オリエント、アメリカ、南太平洋―異文化にかんするドイツ人の意識と思考を、旅行記、小説、詩、戯曲、オペラなどさまざまなテクストから読み解く」第1章「イギ…

『タップ・ドッグス』の豪英語@ゼミ発表

映画と英語メモ 世界の英語変種をテーマにしている今年のゼミ(国際文化学科国際文化演習)では、英文テキストの要約・発表を終えて、個人発表に移りました。今日の発表は、『タップ・ドッグス』(Bootmen, デイン・ベリー監督, 2000年)を取り上げて、オー…

『近世ヨーロッパの言語と社会―印刷の発明からフランス革命まで』

『近世ヨーロッパの言語と社会―印刷の発明からフランス革命まで』 ピーター・バーク著、原聖訳、岩波書店、2009年「識字と読書」プロジェクト関連で教えてもらった本を読了。オリジナルは2004年出版。目次 序章 共同体と諸地域 第一章 「話を聞けば、どんな…