黒人英語@『フォレスト・ガンプ』
「英語学概論b」「言語文化論II」の授業で、「黒人英語 Black English Vernacular」について話しました。
教科書『社会言語学入門』(東照二著、研究社)を使って、be動詞の使い方の特徴や、多重否定について説明したあと、『フォレスト・ガンプ』(1994)で見つけた具体例を紹介しました。以前にも、アメリカ南部英語の特徴を紹介するのに使った映画です(>そのときの日記はこちら)
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フォレストが大学卒業後、軍隊に入り、ベトナム戦争に従軍したときに出会ったアフリカ系の友人ババの話し方に、「黒人英語」の特徴が見られます。二人が、ベトナムで雨に打たれながら、いつか一緒にエビ漁をしようと話す場面です。
‘Cause we be watching out for one another, like brothers and stuff. 俺たちは兄弟のようにお互いを気遣っているからな。(DVD『フォレスト・ガンプ』から+山口訳)
→「習慣、繰り返しを表すbe/bees」。これにたいして、be動詞を用いないHe sick todayのような文は、「習慣的でない行為、あるいは決まった状況を表す」(『社会言語学入門』p.77)
Something I been thinking about. 考えてたことがあるんだ。
→標準英語のhave+beenを表すbeenの用法。(p.78)
We ain’t got to pay no rent. 家賃も払わなくていい。
→「多重否定では、否定できるところをかたっぱしから否定して、全体としての意味も否定の意味になる」(p.79) ここでは、aint't=have notなので、ain't got= haven't got= don't have toとなり、「しなくてよい」の意味。