シンポ見どころ聞きどころ

7月7日に京都府立京都学・歴彩館で開催する国際京都学シンポジウム「テレビドラマの外国語〜京都育ちアメリカ人の役者人生〜」の見どころ聞きどころを紹介します。
1部、2部ともすべて日本語です。 (シンポ日程やチラシ画像はこちらです。 http://d.hatena.ne.jp/myama-kpu/20180617: )



第1部はバイリンガル俳優ブレイク・クロフォードさんの講演「京都育ちアメリカ人の役者人生」です。「わろてんか」で主人公の息子が騙された偽ハミル氏、「西郷どん」で又吉さん演じる将軍家定の奇行に驚いたアメリカ全権大使ハリスほか、「ドクターX」の謎の外科医、「奥様は、取り扱い注意」の謎の諜報員、「科捜研の女」の謎の被害者など、謎の外国人として、実はあちらこちらのドラマで見ている人も多いはずー

6歳のときに来日し京都で育った子供時代、特に神戸のインターナショナルスクールで歌舞伎に出会ったこと、京都南座での歌舞伎修業について話を聞きます。「歌舞伎は伝統芸能だから、古いものだからありがたいと思ったのではなくて、先輩たちがやっている歌舞伎をみて、すごい、これはおもしろい、と夢中になった」10代、20代の歌舞伎体験は、それからの演技にどのような影響を与えたのでしょう。

第2部は社会言語学者の渡辺宥泰さん(法政大学グローバル教養学部長)と小林めぐみさん(成蹊大学経済学部教授)を迎えて、クロフォードさんに質問をする形で「テレビドラマの外国語」について考えます。私(山口)はお二人と「英語をめぐる言語態度の東アジア比較研究」という科研の共同研究を行っていて、今回のシンポジウムもその一環です。

日本で放映されている日本語のテレビドラマの中で、外国語が使われることは増えていて、特に英語、中国語、広東語を話す外国人キャラクターや日本人キャラクターが増えている印象です。2018年春のドラマだと例えば「 #コンフィデンスマン 」や「 #モンテクリスト伯 」など。では何のために外国語が使われているのか?

テレビドラマで外国語が使われるときには、その外国語を通して行われるコミュニケーションの内容それ自体よりも「外国語が使われていること」が大きな意味を持つことがよくあります。日本人キャラクターが「英語ぺらぺら」であるときのイメージは、たとえば有能、エリート、鼻持ちならない。また明治期を舞台にした朝ドラ「あさが来た」では英語ぺらぺらな五代さんは文明開化を体現した人物。イメージ、象徴としての英語。

日本人俳優が英語のせりふを言うときに「英語が上手」なキャラクターというイメージを視聴者に与えるために、求められているのは、複雑な構造の難しい言葉を使ったせりふ、を速いスピードで話すこと。でもそれでは通じないし、役者によっては負担になることも。(これは英語教育でスピーキングの能力を一分間に話す単語数で測定することとどこかでつながっていると思います)

逆に、アメリカ人俳優としてクロフォードさんが日本語のせりふを言うとき。「日本語が下手」なキャラクターを演じるために演技上求められる「下手さ」と、本当に日本語が話せない外国人が話す日本語は違うと感じる。日本人にとっての「日本語が苦手な外国人の日本語」は発音、抑揚重視の傾向。せりふ自体は説明ぜりふのように長く複雑なものでも、それを「下手な発音」でいえば「日本語下手」の演技とされる。

テレビドラマの外国語では、たとえば「上手な英語」「下手な英語」「下手な日本語」のイメージを伝えることが重視されているようです。パネルディスカッションではこうした現象を社会言語学者が、指標性(インデクシカリティ)やステレオタイプ、マーカー、などの概念を使って整理します。またクロフォードさんにフロアからの質問にも答えてもらいます。ドラマ撮影裏話から社会言語学まで。七夕の午後、京都市営地下鉄北山駅徒歩4分、京都学・歴彩館においで下さい〜。

TVdrama@kpu.ac.jp にお名前を添えてお申込みください。
または、こくちーずからもお申込みいただけます。https://kokucheese.com/event/index/525571/