『オーストラリア』とアボリジニーの英語

ゼミ(国際文化演習)で、映画『オーストラリアAustralia (バズ・ラーマン監督、2008年)を題材にして、アボリジニーの英語(アボリジナル英語)の特徴を論じた発表がありました。

参考文献は、これまでに読んできたWorld Englishesの他に、『オーストラリア映画』(佐和田敬司著)、『オセアニア』(山本真鳥編著、山川出版社)や、山崎真稔先生のウェブサイト「英語方言研究室」の「オーストラリアの英語」(→こちら)が使われていました。(このサイトでは、英語の他の変種についても、とてもわかりやすく紹介されています!→こちら

さて、映画『オーストラリア』は、英国上流階級の女性(ニコール・キッドマン)とオーストラリアの牛追い男(ヒュー・ジャックマン)のロマンスを軸に、アボリジニーの母と白人の父を持つ少年ナラ(ブランドン・ウォルターズ)が第二次世界大戦に巻き込まれていく運命を描いています。

今回の発表ではナラやナラの伯父の台詞を取り上げ、アボリジナル英語の文法上、発音上の特徴がどのように現れているかの発表がありました。その一例を紹介します。

That day I see'em, them white fellas, they were pushing them cheeky bulls across the river onto Carney land.

themはthoseの意味。fellasはfellowsの略式、一種の視覚方言。see'em, them white fellasのところが、「動詞が目的語をとるとき、動詞に特別の標識をつけることがある」(→上記サイト参照)という特徴を示す例文となっています。また、themやtheyのの音が[d]の音になっています。

アボリジナル英語の特徴を、映画の台詞のなかから丁寧に拾いだしたとても興味深い発表でした。

World Englishes Paperback with Audio CD: Implications for International Communication and English Language Teaching (Cambridge Language Teaching Li)

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オーストラリアとニュージーランドの英語

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オーストラリア映画史―映し出された社会・文化・文学

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オセアニア史 (新版 世界各国史)

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