『ピジン・クレオール入門』と「ジャマイカ 楽園の真実」

myama-kpu2009-12-15

「英語学概論b」「言語文化論II」でピジンクレオールの話をしました。テキスト『社会言語学入門』(東照二著、研究社)pp.49-56に沿って話しました。

また、『ピジンクレオール入門』(ロレト・トッド著、田中幸子訳、大修館書店)の、第4章「発達過程―ピジンからクレオールへ」の内容を、補足しました。
第1段階―限界的接触、第2段階―土着化時代、第3段階―優勢語からの影響、第4段階―ポスト・クレオール連続帯、第5段階としての黒人英語、という流れ(仮説)です。先週の授業(→こちら)で、黒人英語の話をしたので、ここでつながりました。


第4段階の「ポスト・クレオール連続帯」の話として、ジャマイカの例をもう少し詳しく。

ジャマイカでは、正規の標準的な国際変種としての英語によってクレオールがどんどん影響されており、さまざまな形を持つ英語の幅広い連続帯が見られる。これは、一般に「ポスト・クレオール連続帯」と呼ばれ、そのなかには、本格的なクレオールから、クレオールに影響された英語、さらに国際的な標準英語の地域変種も含まれる。たとえば、標準的なI didn’t get the ball.は、mi no get di ball, mi neva get di ball, mi din get di ball, a neva get di ball,a din get di ball.など様々な言い方が見られる(『ピジンクレオール入門』p.18)


関連して、映画『ジャマイカ 楽園の真実』の「バナナ・ボート」の歌やその前後のインタビューシーンを紹介。ポスト・クレオール連続帯の上では「国際的な標準英語の地域変種」に限りなく近い部分です。バナナ・ボートの歌は歌詞は知らなかったけれど、これまでに聴いたことがあったという人が結構多かったようで、よかったです。

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