eのついた名前

最近見た2本の映画に偶然どちらも、人の名前の綴りを説明する場面が出てきて、そこでeの有無が言及されていました。

ひとつは、『ファミリー・ツリー』(Descendants)で、"Speer with two Es." (eを重ねるスピア)という台詞。もうひとつは、『幸せの教室』(Larry Crowne)で、"Crowne with an E" (eのついたクラウン)という台詞。

英語の綴りと発音は対応が不規則でいろいろと悩ましいですが、特に固有名詞は多様で、予測しにくいですね。

ところで、名前とといえば、やはりこれ、『赤毛のアン』。子どものころ村岡花子訳で読んでいたとき、アンがマリラに名前を聞かれて「eのついたアンAnne」と呼んでほしい表現がおもしろいな、と思いました。ただ、そのおもしろさを実は誤解していました。そのころはAnnとAnneで、発音が違う、と思っていたのです。でも、そういう話ではないですよね。発音は違わないけれど、綴りが違う、という話なんですよね。

「アンという名を呼ぶんでしたら、e のついたつづりのアンで呼んでください」
「字なんかどんなふうにつづったって、たいしたちがいはないじゃないの?」さびついたような微笑がふたたびマリラの顔へ出てきた。
「あら、大ちがいだわ。そのほうがずっとすてきに見えるんですもの。名前を聞くと、すぐ目の前に、まるで印刷されたみたいに、その名前がうかんでこないこと? あたしはそうだわ。だから Ann はひどく感じがわるいけれど、Anne のほうはずっと上品に見えるわ。小母さんが、おわりに e のついたアンと呼んでくださるなら、コーデリアと呼ばれなくても、がまんするわ」 ルーシー・モード・モンゴメリ赤毛のアン』 第三章 マリラ・クスバートの驚き

↓原文でいうと、ここ。

But if you call me Anne please call me Anne spelled with an E."
"What difference does it make how it's spelled? " asked Marilla with another rusty smile as she picked up the teapot.
"Oh, it makes such a difference. It looks so much nicer. When you hear a name pronounced can't you always see it in your mind, just as if it was printed out? I can; and A-n-n looks dreadful, but A-n-n-e looks so much more distinguished. If you'll only call me Anne spelled with an E I shall try to reconcile myself to not being called Cordelia."

Anne of Green Gables

Anne of Green Gables