『恋のロンドン狂騒曲』

明日(12月1日)公開の、ウディ・アレン監督『恋のロンドン狂騒曲』(You Will Meet a Tall Dark Stranger)の試写会に、先日行ってきました。(映画の公式サイトはこちら。)

熟年夫婦(ジェマ・ジョーンズとアンソニー・ホプキンズ)の離婚から物語は始まります。夫が突然、若返り願望を持ち、妻を去るのです。妻は、失意のなかで、占い師に頼るようになります。また、娘(ナオミ・ワッツ)の家に入り浸るようにも。

映画は、この占い師に頼る捨てられた妻(ジェマ・ジョーンズ)のエピソードから始まるわけです。彼女が、ミドルクラス〜アッパーミドルクラスに所属するきちんとしたrespectable女性であることは、その英語からわかるのです。なんといっても、1人称に近いかたちで総称代名詞oneを使ったりするくらいですから。one becomes . . .

ちなみにジェマ・ジョーンズは、ブリジット・ジョーンズでブリジットのお母さんをやっていた女優さんですね。あのときよりも若干社会階層上、というかんじの役どころです。

あやしげな占い師は、顧客のことをdarlingだの、dear sweethartだの、とにかく言葉の上で親密にふるまって、信頼させてお金を巻き上げようというのが見え見え。。。

一方、アンソニー・ホプキンズが再婚することになる女性は、自称女優でも実は娼婦。あきらかに、「階層が違う」ことは、ファッションのみならず、英語にも表れています。daughterが、どーああ、というかんじで、声門閉鎖音で発音されていたり。彼女の名前であるシャーメインが、シャーマインと発音されていたり。(エイが、アイとなるのは、コックニーの典型的な音)。あと、同じくAIDSをアイズといったり。(ちなみに、ナオミ・ワッツは、このシャーメインを、チャオメイン(=焼きそば)みたいね、とかいって小ばかにしています。(字幕はチャーハンみたい、なんですが)。そのほかにもbabyがバイビーだったり、not hereがノットイア(hがおちる)だったり。

そのほか英語で気が付いたこと。

ナオミ・ワッツが恋焦がれる色男上司、バンデラスは、スペイン訛の英語を話しています。そこがまた、コスモポリタンというか、グローバルな成功者のニュアンスがあるんでしょうね。interestingはreにアクセントがあったり。heard がヒアドだったり。イギリス、アメリカ英語とは異なる発音です。

ナオミの夫ジョシュ・ブローリンが興味を示す隣人、フリーダ・ピントは、ムンバイ生まれですが、英語は特にインド訛はありません。ただ、彼女の両親(移民一世として成功していることが大きな家からうかがわれる)は、インド英語的音声特徴(リズム面)のある英語を話しています。

あと、ナオミ・ワッツのラスト近くでの、母親に向けて投げつけるあれやこれやの暴言(imbecileを何度も!)あれはすごかったですね。いやいや。それまでの、とりすました、言い控えとの対比がすごくて、さすがウディ・アレン!!と思いました。いや、ほんとに。