ENJOY KYOTO紙

京都の観光情報を掲載している英文フリーペーパーEnjoy Kyoto 紙。発行者の方が、欧米言語文化学科の授業「英語で京都」で、Enjoy Kyoto紙を使っている同僚の研究室にバックナンバーを持ってきてくださったので、学生院生といっしょに私もお話をお聞きしました。


記事コンテンツの充実した読み応えのある紙面作りのため、各号ごとにチームを組み「人を立たせる」記事をとのこと。作業工程としては、

1)日本人ライターが取材して記事を書く→2)翻訳者が日本語記事を逐語的直訳的に英語に訳す→3)英語母語話者が自分のスタイルで書き直す。

だそうで、翻訳者はとにかく直訳するのだそうです。

実はこの英文記事ができる過程については、学生の英語学習モチベーションに向けてというつもりで質問したのですが、こういう分業体制で魅力的な英文が確保できるなら、2)の部分をやがて機械翻訳が担うことになるのかなーなどと思ったり。実際には3)の英文ライターが1)に同行することもあるとか。

2013年11月刊行。web優勢時代に紙媒体で発行することについてお聞きしたところ、京都は(日本は)wifiが十分でない、旅行客にとってはペーパー版は持って帰れるのでちょっとした土産代わりにも喜ばれるとのこと。国内修学旅行生の事前学習用に送ることもあるそう。

最後に京都で学ぶ学生にひとことアドバイスをお願いしたところ、実際に行って体験すること、本人としゃべって学ぶ、そうすることで横のつながりが広がっていく、Enjoy Kyotoも体当たりで入っていくことで数珠つながりに広がっている、とのお話でした。

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こちらのFB、紙面のイメージつかみやすいです。#EnjoyKyoto https://m.facebook.com/ENJOY-KYOTO-373891732743216/
web版(http://enjoy-kyoto.net )は近日リニューアルだそう。

大学院説明会のお知らせ(7月20日)

京都府立大学文学研究科 英語英米文学専攻 大学院説明会 のお知らせ

京都府立大学文学研究科 英語英米文学専攻では、夏期入試に先立ちまして、大学院説明会を開催いたします。なお、10月にも説明会開催予定です。
平成30年度京都府立大学大学院学生募集要項 | 京都府立大学


英語英米文学専攻大学院説明会 
日時 2017年 7月20日(木)16:10−17:40
場所 京都府立大学2号館2階 2260室 文学研究科 英語英米文学専攻陰性研究室
対象 本専攻に興味のある方 (所属、学年は問いません。留学生、社会人の方も)
事前申し込み不要  途中入退室自由

内容 
・英語英米文学専攻の概要 (英文学・アメリカ文学・英語学・英語教育学)
・カリキュラム説明
・入試説明
・学生生活について

アクセス
大学への交通手段 | 京都府立大学


主催 京都府立大学文学研究科英語英米文学専攻
問い合わせ先 山口 myama@kpu.ac.jp (説明会や本専攻につきまして、お気軽にお問合せください)


  

祝「ドリーム 私たちのアポロ計画」日本公開

【追記】これを書いた次の日に邦題が『ドリーム』に変更になったようですが、こういう経緯だったので、とりあえず記事は残しておきますー 2017/6/8


3月にシドニーマッコーリー大学に研修付き添いで行ったときに見た映画、Hidden Figuresの日本公開が決まったようです。

邦題は「ドリーム 私たちのアポロ計画」で、9月に公開。ネット上では、この邦題について、「間違いでは?」とちょっと話題になっています。つまり、このときの宇宙開発計画は、アポロ計画ではなく、マーキュリー計画だったのに、なぜ、アポロ計画という邦題を付けたのか、ということらしい。
詳細はこちらに↓
https://www.buzzfeed.com/jp/harunayamazaki/dream-apollo?utm_term=.tgVwxDdX7#.lvdYqZgP7

なるほどー。
確かに、それは問題ですね。
ただ、詳細を聞くとなるほどけしからん!と思うものの、ともあれまあ、日本公開を喜びましょうか、という気持ちが先に立ちます。

原題はHidden Figures.
figuresが、人々、というのと、数字、というのの掛詞ですね。白人男性開発者の陰に隠れていたアフリカ系女性開発者たち。そして彼女たちが見つけた数字。

邦題の話題性も含めて、ひとりでも多くのひとが映画館に足を運んでみてくれますように、と思います。いい映画です。本当に。

シドニーで見たときの日記はこんなかんじです↓

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マッコーリー大学近くのショッピングモールのシネコンで映画Hidden Figures見た。

日本公開間近な気がしてたけど未定。IBM大型計算機導入前夜の1960年代NASAでエンジニア、「コンピュータ」(複雑な計算をばりばりこなす仕事)として勤務し、その後も各キャリアで「最初のアフリカ系女性」であり続けた3人の実話ベースの物語。

NASAのトイレさえカラード用と分け隔てられていた時代。前例がない道を拓いて行く物語は極めて痛快。でも結局実力とやる気があっても、ケヴィンコスナーのような偏見のない(なぜなら任務遂行をブラックなまでに至上命題とするから)上司が見出してくれて初めて上に上がれるという物語でもある。(ところでケヴィンコスナーは、映画館を途中で出てしまったボディーガード以来苦手な俳優でほとんど見ていないのだけれど、これはいい役で、えーこのかっこいいおじさんだれ?と思っていたらケヴィンコスナーということでびっくりした。ごめんなさいごめんなさい!)

白人女性との連帯もキルステンダンストが美人憎まれ役を好演していて比較的丁寧に描かれつつ、しかし白人男性と白人女性の関係はまた別の物語というかんじでほとんど描かれない。題のfiguresは人物でもあり数字でもあるのね。日本語字幕がつくと女性語尾があちこちにつくんだわ、きっと。

私生活のロマンス面もそれ自体かなりいい感じで個人的にはツボ展開だけれど、ただ、「私生活も充実してこその仕事の成功!」的な女の成功物語ひな形がちらつくことも確か。いや、文句言ってるみたいだけど、見ながらここまでの今年マイベスト1と思って勧めたい女友達の顔思い浮かべてた。特に、20人近い部下をとりまとめる管理職的仕事をさせられながらカラードが管理職する前例はないから、と管理職supervisorとして認められない女性のストーリーなど敬愛する某先輩にぜひ見ていただきたい!

日本公開熱望!

それにしても、21.5豪ドル=約2000円。安くないですねー。ショッピングモールのシネコン。オペラ3階席が45豪ドルなのよねー。映画はこれからどこへ行くのでしょう。。

教えてほしいです

学生さんからのメールで、「〜を教えてほしいです」「送ってほしいです」という文末表現に出会うことが、ここ数年増えていて、毎回少しとまどってしまいます。
(I want you to , , ,と言われているようで、遂行文かーと思ってしまう、というのはおいておいて)

「〜を教えていただけませんか」などのほうが、印象がよいと思うのですが、なかなか伝えるに至りません。(就活中の方からのときは、返信に書き添えましたが、就活ではそういう風には書かないかもしれません)

「いただけませんか」までいかなくても、「教えてください」「送ってください」のほうが、「教えてほしいです」よりもよいと思うのですが、「ください」形に抵抗があるのかもしれません。もしかすると、「〜ください」は、なんだかむき出しで、ぶしつけのような気がして、使いにくいのでしょうか。相手への依頼をストレートに出すよりも、自分の願望として表現したい、ということでしょうか。

「ほしいです」形の依頼が目に入るようになってきたのは、ここ数年くらいですが、もちろんもっと以前からあったことでしょうね。教えてほしいです。(>とわざと書いてみて、こういうふうに、不特定多数に書くなら大丈夫か、と思ったり)

英語のポライトネス(丁寧さ)に関連させて考えるとー
・主語(視点)を自分にするか相手にするか。一般に、相手にしたほうがポライトネスはあがる。
・平叙文か疑問文か。これも疑問文のほうが、返答の選択可能性を形式的に残しているので、ポライトネスはあがる。

なので、Will you tell me about that? Could you tell me about that? (教えていただけませんか)のほうが、I want you to tell me about that(教えてほしいです)よりもポライト(丁寧)。

もちろん主語をI にして、平叙文にしても、
I would be grateful if you kindly let me know about that.みたいな風に一周、二周まわって自分に戻す場合もあるわけで、一概には言えませんがー

というような話を今度授業でしてみましょう。

授業参観

新年度が始まり、授業も二巡目に入りました。

今年度、「英語学研究」という科目で、関西外国語大学の村上裕美先生に、英語学習者、英語教員にとっての「授業学」を講じていただいています。学科の教員も随時オブザーバー参加させていただいていて、先日は授業のあとに先生を囲んでお話を聞きながら各自の授業について話すなど、思いがけぬFD(Faculty Development)の機会となりました。

大学教員がお互いの授業にオブザーバー参加する、というのは、実は私の20数年間の大学教員生活では(複数教員で担当する授業をのぞいて)ほとんどなかったことなのですが、ここ1,2年でそういう機会を得ることが増えてきました。

私自身の最近の経験としていうと、マッコーリー大学での研修の事前指導を複数教員で行うなかで他の教員の講義を学生と受けるとか。よければご参加くださいといっていただいた集中講義の語法・文法講義を聴講するとか。マッコーリー大学での研修に行ったときに、あちらでの授業にオブザーバー参加したことも、同様の経験です。

実際問題として、同僚の授業参観というのは、するのもされるのもなかなか緊張しますし、受講生(学生)への影響ということも考えます。また、他教員の授業の参観、オブザーバー参加について、義務化されるなどということになったら抵抗があります。けれども、そうしたもろもろを含みつつも、自発的な流れのなかで出てくるものは、やはり学ぶところも多く、貴重な機会だと感じています。

科研報告書『英語文化圏としてのカリブ諸島』

歴史学科の川分圭子先生(イギリス史)と行った昨夏のカリブ調査の報告書ができました。プランテーション跡地を探して回った写真いろいろ。熱帯の植物を英国庭園に見立てたわずかな痕跡など探すのは探偵みたいと思いながら付いて回っていました。


報告書は府大に出講いただいている竹下幸男先生にもご発表をお願いして2月に開いた報告会をもとにした報告書です。

『英語文化圏としてのカリブ諸島ーグローバル化の中のコロニアル・ヘリテージ』
「コロニアル・ヘリテージの現況と課題」(研究代表者 川分圭子) 、
「Mary SeacoleとMichael Goveー歴史認識をめぐって」(竹下幸男)、
「旧英領西インド諸島の英語ーマップタスクによる調査」(山口美知代)

川分先生は以前、一緒に国際文化学科に所属していたときは、自分の授業と研究をするのが精一杯で、共同研究の余裕はありませんでしたが、その後、別の学科所属になり、ここにきてようやく何か一緒にできるようになった感じで、いわゆる学際的な研究とかなかなかできるものではないなあと、そんな話ばかりカリブ海でしていたのでした。先月刊行された大部のご著書。

ボディントン家とイギリス近代: ロンドン貿易商 1580-1941

ボディントン家とイギリス近代: ロンドン貿易商 1580-1941

本年度から3か年予定で採択されたの科研費(基盤研究c)の新しい研究課題「カリブ海旧イギリス領諸国における植民地時代の事物の現存と歴史的記憶」(研究代表者 川分圭子)の分担研究者に入れていただいたので、西インド諸島の英語を近代英語の歴史と多様性のなかでとらえる研究を続行予定です。

「世界遺産都市研修」終了

オーストラリア、シドニー、マコーリー大学の言語センターでの研修を終えて、京都府立大学欧米言語文化学科1回生の学生さん11人と一緒に帰国しました。研修は4週間。私は最後の1週間合流しました。

語学研修に加えて、最終週に、京都を紹介するプレゼンテーションを行いました。これは、言語センターのプログラムではなく、府大の「世界遺産都市研修」として準備したうえで、マコーリーの学生さんたちに聞いてもらうものです。京都とシドニーの共通点として、世界遺産を有しているところに注目して、京都の紹介をし、また、シドニーについて学ぼう、というのが世界遺産都市研修の主旨です。2人、または3人のグループで、10分の発表をし、フロアからの質問に答えました。発表は、順に次の5つのトピックについてでした。

金閣寺
・茶道
・宇治
伏見稲荷
・嵐山

12月に最初の事前研修を行い、そのときにトピックやグループを決めました。それから冬休みに現地に行って写真を撮るなどの準備をし、1月、2月とリハーサルを行いました。その時点では、私たち学科の教員もいろいろとダメ出しをしていたのですが。3月にマコーリーに行ってみて本番の前日に最後のリハーサルをしたときには、やはり4週間弱の現地での言語研修の成果があり、みなさんの自信にあふれ、コミュニケーションを積極的にとっていこうという様子に感動しました。(写真はプレゼン本番直前の様子と、「宇治」のスライド)


プレゼンには、言語センターのなかの大学進学準備コースの留学生、先生たちが聞きにきてくれたほか、研修2週目に言語センター主催で行われた「バディプログラム」で交流することになった、マコーリー大学の日本語専攻の学生さんたちも来てくれていて、充実した内容となりました。

初回ということで、いろいろと未知数で不安も抱えながらの研修でしたが、安全に成功裏に終えることができて本当によかったと思っています。参加の皆さん、本当にお疲れ様でした!

支援いただいている京都市の「京(みやこ)グローバル大学」(採択事業「国際京都学と和食文化を通じたグローバル人材の育成」)をはじめとし、今回のプログラム実現に向けてご協力いただいた皆様に心からお礼申し上げます。