『アバター』のナヴィ語とコードスイッチング

アバター』のナヴィ語と英語について先日の日記(→こちら)で書きました。その補足。ナヴィ語と英語の間の切り替え、いわゆる「コードスイッチング」(code-switching、言語切り替え)について。

終盤、主人公がナヴィ族の集会で話をするところで、最初はナヴィ語で話していましたが、あるところから英語に切り替えられている場面があり、興味深かったです。まずナヴィ語で話すことで言語的リアリズムを演出し、そのあとは、よりダイレクトに観客に伝わるように英語に切り替えているのでしょう。どういうタイミングで言語切り替えが行われているのか、DVDが出たら見直したいです。

コードスイッチングについては、英語学概論、言語文化論の授業(→教科書はこれ、授業例はこちら)で話をしました。そのときに紹介したのが、『ローマの休日』の新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)がタクシー運転手と会話をする場面です。

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 [DVD]

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 [DVD]

ジョーは英語とあいさつ程度のイタリア語、運転手はイタリア語とかたことの英語を話しています。二人共、英語もイタリア語も使いながら会話を進めています。

もうひとつ、コードスイッチングがおもしろかった映画といえば、ウディ・アレン監督の『それでも恋するバルセロナ』。

それでも恋するバルセロナ [DVD]

それでも恋するバルセロナ [DVD]

モテ男(ハビエル・バルデム)ががスペイン人である妻(ペネロペ・クルス)とアメリカ人である恋人(スカーレット・ヨハンソン)との奇妙な共同生活のなかで、「何語を使って話をするべきか」に何度も言及していました。英語を話さなきゃだめじゃないか!と妻に言うその台詞がスペイン語だったりして、おかしかった。(→スカヨハ日記はこちら