『博士と彼女のセオリー』

そろそろ終わりかもと思われる『博士と彼女のセオリー』見ました。よい映画。なぜかあやうくスルーしかけで、もったいないことするところでした。迷っている方は週末にぜひ^^ ホーキング博士を演じるレッドメインアカデミー賞演技ももちろんだけど、なによりも、大学街ケンブリッジの魅力横溢。(90年代のはじめ、ケンブリッジ留学中に、車椅子で移動するホーキング博士の姿を何度か見かけました。そういうことも思い出して懐かしかったりもします)

ぱっとしない人が実はめちゃくちゃ賢かった!とわかった瞬間皆がおおっとどよめき口あんぐり、というのが、この種の大学/学問映画の見せ場というか、アクション映画におけるカーチェースシーン的な「肝」なわけだけれど、「博士〜」はそういうドヤな場面が何回かあって、いずれも見せ方がうまい。

前半は躍動感ある大学/学問シーンで見せ、後半は、ホーキングと妻とそれぞれに絡む男女という4人の関係が、手堅い古典的ウェルメイド風メロドラマ。逆説的ながら、ホーキングの病やそれを体現するレッドメインの演技だけにたよらない、他の部分の手堅さが、この映画を支えているし魅力的にしている。

フェリシティ・ジョーンズが演じるジェインがしっかり書きこまれていてよかった。1963年にケンブリッジ大学で学んでいた女性はArtsでも少数派なわけで、その彼女が自分の勉強をどうするのか、というところが、(実話ベースとはいえ)ちらちらと書きこまれていてひんやりする。

大学街ケンブリッジで出会ったときにScience or Arts?と専攻を尋ねる場面。「理系?文系?」と聞いているわけだから、artsの字幕「言語学」はちょっと違和感。たしかにジェインはFrench and Spanishを学んでいるけれど仏文西文というかんじ。(ちなみに、私は、まさにLinguistics(言語学)科にいたのですが、小さな部署でした。。)

ジェインの英語はhopeの二重母音の最初がせまく(ハウプのように聞こえる)、firstのアーにrがついてこない、という「イギリス標準英語の特徴」と教科書的に書きだす項目がわかりやすく聞き取れるので、授業で使いましょうと思った。peninsulaが[sj]だったり。

そんなわけで、お勧めな『博士と彼女のセオリー』(The Theory of Everything)でした。まあそれにしても、映画がおもしろいから語ってしまうのか、語る内容があるからおもしろい映画に思えるのか、そのあたりはいつもながら不明です。


ところで。
英米の映画では家族団らんなどの場面でよくシャレード(ある言葉をジェスチャーで表しそれを他の人が当てる)をしていますが、あれってやってておもしろいかしらん?あまりおもしろそうに見えないんですけど。。映画として絵的に映えるのはわかるのですが。ぱっと思いつく映画だと、「クリスマスキャロル」「恋人たちの予感」「6才のボクが、大人になるまで」そして「博士と彼女のセオリー」。一度やってみますか。