『スタンリーのお弁当箱』

インド映画『スタンリーのお弁当箱』を見ました。「お弁当箱」はヒンディー語のdabbaで、このような金属製の筒状の積み重ねて運ぶもののようです↓

スタンリーはムンバイ(映画の後半の街の風景から推測)のHoly Family Schoolというキリスト教系の学校に通っています。10歳くらいでしょうか。ただ、どういう事情があるのか、お弁当を持ってきません。昼休みになると、皆のところを離れて水を飲んでおなかをみたし、あとはぶらぶらとしています。。そんな様子に気づいた級友たちは、お弁当を一緒に食べようと言ってくれるのですが、そのことに対して異様に厳しい目を注ぐ教師がいるのです。。(ちなみにこの教師を演じているのが、本映画の監督、アモール・グプテ。主人公スタンリーは、監督の実の息子だそうです)

興味深かったのでは、学校での教授言語は英語であること。英語だけでなく、理科も、歴史も英語で教えています。ヒンディー語(多分そうだと思いますが、未確認です、すみません)の読み書きを教える先生はその言語を使っています。また、教室外では、子どもたちはインドの言語(たぶんヒンディー語)を使っています(IMDbによると、英語、ヒンディー語グジャラート語が映画のなかで用いられている由)。

インドでは、英語は憲法の定める連邦の準公用語ヒンディー語が連邦公用語)ですが、英語を教授言語とする私立学校に子どもを通わせるのは中流階級以上の経済的余裕のある階層に限られています。たしかにこの映画のHoly Family Schoolにも、豪華なお弁当を持参したり、携帯電話を学校に持って来たり、また、放課後サッカーの試合をして、そのあとグランドで豪華なピクニックを皆にふるまうような子どももいます。では、お弁当が持参できないスタンリーはどうして、この学校に通っているのでしょうか。。教会系の学校だということで、チャリティーの要素があるのでしょうか。。そのあたりの背景があかされないことや、伏線が回収されないことなどがやや残念でありましたが、インド映画にしては、驚異の短さ、1時間半あまりですし、また、私立学校の様子がわかるのもよかったです。