「トロッコ」
友人のブログで「トロッコ」の話が出ていて、青空文庫のリンク(こちら)を貼ってくれていたので、久しぶりに全文読みました。
つい先日、子供の塾教材に一部がのっていて、あー、これひどい話だよねーみたいなことを言っていたところでした。(子供のころに自分が親から、「われはもう帰んな」の話をきいて、ひどいよねーという会話をしたのを覚えているのでなんとなくそういう話の流れで)
今読み返してみて思ったのは、トロッコで走って、帰り歩いてきたのは、思っていたよりも短い距離だったんだなーということ。
「西日が消えかかっている」ころに、われはもう帰んな、といわれて、走って走って。家についたときもまだ、「遠い夕闇の中に、村外れの工事場が見えた」り、「井戸端に水を汲くんでいる女衆や、畑から帰って来る男衆」の姿があたりにあったりしたんですね。
大人にしたら、ものすごくひどいことをしている気にはならない距離なんですよね。まあ、ちょっと不親切ではありますが。よくこんなひどいことができたな、とこれまで思っていたのは、解消されました。
10キロないくらいでしょうか。なんか、20,30キロあって、真夜中に帰りついた、みたいなイメージを持っていました。子供の心理的にはそういう距離感だったわけで、その心象風景を読者に共有させる。さすがだわ、龍之介…。
あと、主人公が8歳男子。なるほどね。拙宅9歳男子も、こういうことをやりそうです。痛く共感しました。
- 作者: 芥川龍之介
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