エアポートフィクションの「ヒロシマ」

「エアポート・フィクション」(airport fiction)という英語表現があります。空港で買って飛行機のなかで読んだり、旅先で読んだりする小説のことです。

私にとってのエアポート・フィクションは、ダニエル・スティールのペイパーバックと藤沢周平の文庫本です。毎夏買ってしまいます。今年も御多分にもれず、と思っていたのですが、関西国際空港丸善には、藤沢周平がほとんどおいていなくて、並んでいるものは既読だったので、諦めました(時代小説鉄板の藤沢周平にも陰りが出てきたのでしょうか?)。

ダニエル・スティールはFamily Tiesを買いました。急死した姉の遺児3人を育てた美人建築家が主人公。3人が大人になり、「空の巣症候群」に悩んでいる様子が語られます。

まあ、他愛ないロマンス小説なんですがー。

一か所、ぎょっとしたところがありました。ひきとった3人の子どものなかのひとり(主人公の甥)が、ロースクールに通っているのですが、そこで一回り以上上のシングルマザーの助教授に誘惑されます。関係を持ったあと、その甥が、助教授との性愛を語っていうときの表現が" some kind of world-class explosion"であり、"The Hiroshima of lovemaking"なのです。絶賛している表現。

通俗ロマンス小説に一般的な描写として使われているヒロシマ。怒りを覚えるというか、あきれるというか。びっくりしました。

Family Ties

Family Ties