『「国語」という思想』

森有礼とホイットニーの書簡を読んでその背景を考えている授業(欧米言語文化論II 言語思想)で、『「国語」という思想―近代日本の言語イデオロギー』(イ・ヨンスク著、1996年)の序章を読みました。

『「国語」という思想』は、1996年の初版後しばらくして読んでその鮮やかな議論にあこがれたものでした。自分の研究(『英語の改良を夢見たイギリス人たち―綴り字改革運動1834−1975』開拓社)で上田万年に言及したときにも読み直しました。また、森有礼をめぐる言説について明解に論じた序章は、その歯切れのよさが印象的で、特によく読み返していました。

授業で受講生に音読してもらって解説を加えるという形式で精読してみると、あらためて、イ・ヨンスク先生の、細部に魂の宿っている文体、言葉づかいにため息がでます。

「国語」という思想―近代日本の言語認識

「国語」という思想―近代日本の言語認識