『テンペスト』

テンペスト』(Tempest) ジュリー・テイモア監督・脚本、2010年。

シェイクスピアの原作のTempestの主人公プロスペローを、女性プロスペラにした映画。おもしろかったです。事前の評判で、難解でアーティー?という先入観があったのですが、どうしてどうして、なんだ、普通に上質のシェイクスピア映画でした。わたしもなにをびびってたのかな、という印象でした。(ケネス・ブラナーシェイクスピア映画ほどとっつきやすくはないけれど、グリーナウェイほど難しくもない、というかんじ。。)

とにかく、シェイクスピアの言語・文体というのが気持ちよくて。その絢爛な英語の響きが美しく、ああ至福、と思いました。ゼミの学生さんに声をかけて行ったのですが、英語的に気づいてほしかったところとしては、プロスペラ(ヘレン・ミレン)が娘に語りかける二人称代名詞thouや、また、道化師(ラッセル・ブランド)thunderのthの音が[f]になっていたところ、など。

あと、個人的には、プロスペラとエアリアルベン・ウィショー)の間の支配・被支配の緊張感と、淡い危うげな愛情とか執着とか、そういうものが渾然としている関係が好きでした。そういうものすべてを、ぐっと飲み込んでエアリアルを開放するプロスペラ、というところまで含めて。

The Tempest (The Oxford Shakespeare: Oxfords World's Classics)

The Tempest (The Oxford Shakespeare: Oxfords World's Classics)

テンペスト (白水Uブックス (36))

テンペスト (白水Uブックス (36))