『テンペスト』
『テンペスト』(Tempest) ジュリー・テイモア監督・脚本、2010年。
シェイクスピアの原作のTempestの主人公プロスペローを、女性プロスペラにした映画。おもしろかったです。事前の評判で、難解でアーティー?という先入観があったのですが、どうしてどうして、なんだ、普通に上質のシェイクスピア映画でした。わたしもなにをびびってたのかな、という印象でした。(ケネス・ブラナーのシェイクスピア映画ほどとっつきやすくはないけれど、グリーナウェイほど難しくもない、というかんじ。。)
とにかく、シェイクスピアの言語・文体というのが気持ちよくて。その絢爛な英語の響きが美しく、ああ至福、と思いました。ゼミの学生さんに声をかけて行ったのですが、英語的に気づいてほしかったところとしては、プロスペラ(ヘレン・ミレン)が娘に語りかける二人称代名詞thouや、また、道化師(ラッセル・ブランド)thunderのthの音が[f]になっていたところ、など。
あと、個人的には、プロスペラとエアリアル(ベン・ウィショー)の間の支配・被支配の緊張感と、淡い危うげな愛情とか執着とか、そういうものが渾然としている関係が好きでした。そういうものすべてを、ぐっと飲み込んでエアリアルを開放するプロスペラ、というところまで含めて。
The Tempest (The Oxford Shakespeare: Oxfords World's Classics)
- 作者: Stephen Orgel
- 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr
- 発売日: 2008/06/15
- メディア: Pocket Book
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (10件) を見る