『パッション』(The Mother)

DVD『パッション』。原題はThe Mother。2003年、 ロジャー・ミッチェル監督、ハニフ・クレイシ脚本。

日本未公開の映画ですが、今頃DVD化されたのは、ダニエル・クレイグが出ているからでしょうか(でも007の新作はまだ先ですよね)

夫の急死の直後に、娘の不倫相手(ダニエル・クレイグ)との濃厚な情事にふける60代の女性(アン・リード)が主人公で、子育て家族中心の結婚生活のなかで抑圧してきた自我が一種いびつなかたちで解き離れていく様子が描かれています。最初は詩。そして、絵。性。フロイト的。

詩は非常に感動的で、彼女がこの詩を読む場面は力強い。なかなか大人しく寝ない子どもを憎いと思いそれに罪悪感を覚える母の気持ちを描いたもの。子育て期の思いが30年を経て噴出したという詩。共感を覚える女性は少なくないと思う名場面です。

それが「性」に移行するところは少し唐突に思えます。一見、ミソジニーに思えなくもない―心の悲しみが体で癒される、という図式に見えなくもないので。でもやがて、初老〜高齢者の性、という方向に展開していて、それもなるほどと思ったりー。

ダニエル・クレイグは同じくRミッチェル監督の「Jの悲劇」のリス・エヴァンス(=「ノッティングヒルの恋人」の同居人とはうってかわって怖い)とも似ているところがあって、得体が知れないー。肉体派兼演技派ぶりを楽しむにはいいけど、すかっとはしない役^^; (まあこのひとは、ボンド以外は結構いやな奴役が多いですがー)

パッション [DVD]

パッション [DVD]

劇中の詩

Childhood

I put the children to bed at last
It was such a struggle

I'd hate them by the end of the day
And thought I was the only parent who felt that way

They'd be screaming upstairs
Throwing things out of thier cots

I'd put on my coat and shut the front door behind me
And I'd go our and walk across the fields for miles as I do now
Or I'd go to a pub where no one knew me

I made sure I'd be back before my husband
But they'd be asleep at last

I wanted to kill myself out of guilt
I still haven't revoered from those cries
What is it about those cries