『よくできた女(ひと)』

『よくできた女(ひと)』バーバラ・ピム著、芦津かおり訳、みすず書房、2010年。Excellent Women by Barbara Pym (1952)

とてもおもしろそうで読むのが楽しみなイギリス小説。友人の翻訳のお仕事です

よくできた女 (文学シリーズ lettres)

よくできた女 (文学シリーズ lettres)

英米圏においてバーバラ・ピムといえば、二十世紀中盤の英国中流階級の静かな生活をユーモアと諷刺まじりに描く風習喜劇作家として認知されている。『二十世紀のオースティン』の呼び声も高く、近年のオースティン人気と足並みを揃えるかのように再評価の気運も急速に高まっている。」(訳者あとがき p.350)


「さらに、婚期を逃しつつある独身ヒロインの、そうした立場の女性特有の心のゆらぎ―ときにひがみっぽくなったり、謙遜したり、ときに虚勢をはったり、開き直ったり…と不安定にゆれ動く複雑な「乙女心」―を共有するのもまた、おそらく似た立場を経験したことのある多くの女性読者にはきわめて楽しい読書体験となるだろう。ヒロインの妄想癖もまたおもしろい。大胆な行動をとったり、感情的な言葉を吐いたりすることのほとんどない「分別ある」ミルドレッドであるが、その分彼女の想像力はたくましく、頭の中ではしょっちゅう妄想列車がガタンゴトンと走り出す。気になる男性のことをあれやこれやと思い描いては、ハッとわれにかえるヒロインの姿もまた、胸に覚えのある多くの読者をニヤリとさせるのではなかろうか」(訳者あとがき p.352)