The Habit of Art

The Habit of Artという芝居を夏、ロンドン、ナショナルシアターで見ました。アラン・ベネットの新作。そのときの観劇日記。

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詩人WHオーデン(デズモンド・バリット)と、ベンジャミン・ブリテン(マルコム・シンクレア)の親交(過去の関係)を描く芝居のリハーサルをしているという設定の芝居。

ブリテンは「ベニスに死す」のオペラを引き受けたもののなかなかうまくできなくて呻吟している。一方、オーデンは酒におぼれて、もう詩作をやめてしまっており、「コールボーイ」を呼んでいる。

このオーデンがなんとも下品な役柄で、卑猥な台詞が多いし、偶像破壊もはなはだしい、というかんじ。

劇中劇(=オーデンとブリテンの話)がメインではあるが、その芝居のリハーサルをしているという設定なので、劇作家や舞台監督(セリーナ・キャデル)、アシスタントが出てきてまわりからあれこれ言う。そして、オーデン、ブリテン役の俳優が、台詞を忘れたり、間違ったりもする。

楽屋落ちみたいな話なんだけど、なんともおもしろかった。

こういう、認識が入れ子構造になっていて、劇中劇と劇世界が行ったり来たりするような脚本は、おもしろい。好きだなあ。芝居ならではのおもしろさ、という気がする。トム・ストッパードの「アルカディア」なんかがこういう芝居で、大好きだった。

タイムアウト誌の劇評はあまりよくなかったけれど、おもしろかった。今回ロンドンで見たストレートプレイのなかでは一番好き。やっぱりナショナルシアターは安心という気もする。リトルトンといえば、1992年に「ピグマリオン」を見て、観劇のおもしろさに目覚めた劇場でもある。

The Habit of Art: A Play

The Habit of Art: A Play