『エンロン』

Enronという芝居を、8月にロンドン(ノエルカワード・シアター)で見ました。Lucy Prebble脚本。

2001年12月に破たんしたエンロンの粉飾を描いた風刺劇。劇作家は新進のイギリス人。2009年にチチェスターで初演。そのあとロンドン。今年春にブロードウェイにも。 2時間半、二幕。

社会的な風刺劇。 台詞がこじゃれている、というかんじはあまりなくて、やはり観点的というかごつごつした感じ。エンロン粉飾決算を打ち合わせていく過程が一幕のメイン。

パンフレットには、金融用語集が一ページもうけられているくらいで、やはり、慣れていないとわかりにくい語彙と台詞。

ただ、それを補う視覚効果が演出されていて、これがスタイリッシュでよかった。

たとえば、エンロンが電力供給を操作したために2000年にカリフォルニアで停電が頻発したということを表すのに、暗転のなかで蛍光ライト棒を持って黒装束のエンロン社員が機械的に不気味に踊ったり。

また、実際は利益が上がっておらず負債が膨らんでいくのに、その負債を隠すための策を講じたことを表すのに、鰐の顔を被った胴体はスーツ姿の人間を数頭舞台に載せ、この鰐に、負債を餌として食べさせるという演出をしていたのも、非常に印象的だった。この場面は、雑誌の劇評にも写真が使われている。

俳優はイギリスを中心に活動しているイギリス人俳優。舞台ではアメリカ英語を話している。とはいうものの、舞台特有のはっきりしたしゃべり方に、アメリカ英語の特徴的な音を混ぜたというかんじ。たとえば、特徴的な発音としては、worldなどの母音のあとのrの音。また、figureをフィギュア(イギリスではフィガ)、など。それにしても、アメリカ映画で聞くアメリカ英語よりは、イギリス風な気がする。

Enron (Modern Plays)

Enron (Modern Plays)