花組公演『麗しのサブリナ・EXCITER』

宝塚花組公演 
ミュージカル 麗しのサブリナ
スパークリング・ショー EXCITER

[8月に見ました。このあと映画もみました。映画日記はこちら]

花組公演を見るのは初めてでした。『麗しのサブリナ』にやられました。

いや、中学生のころヘップバーンの映画をみて、そのあと、リメークができたときにも見ました。でも、どちらも、お話として萌えるということはなかったと思う。 だけど、今回は、直球ストライクでやられた、というかんじ。スカピン、トラファルガー、ロミジュリと見てきましたが、ストーリーとして体でどきどきするほど釘付けになってみたのは今回が初めてでした。

NYの成功したNYロングアイランドの実業家一家ララビー家の兄弟(兄ライナスと弟デイビッド)と一家の運転手の娘サブリナの恋物語。サブリナはデイビッドに恋焦がれているが遊び人色男デイビッドにはまったく相手にされない。サブリナはパリのコルドンブルーに二年間料理修行に出掛ける。そして、洗練されて見違えるようなレディになってアメリカに帰ってくる。

デイビッドはサブリナと恋に落ちる。しかしデイビッドにはビジネス拡張のための婚約者が決まっている。そこで兄ライナスが、サブリナの心を自分に惹きつけたうえで、ふって、彼女をパリに送り返す、という作戦をとる。ライナスは、剛腕ビジネスマンで、計算高く、冷静沈着なので。ところが、ライナスはミイラとりがミイラになりー、 というような話。

なんかねー。 どこがツボかというと、冷静沈着な剛腕ビジネスマンが知らないうちに小娘に惹かれていて「そんなばかな、おれともあろうものが」(→こういうセリフがあるわけではない)と内省自問するような、その展開。 いやー。つぼなんですよねー、じぶんの。

「おれともあろうものがあんな娘(こ)に恋するなんて」と気づいて愕然とする冷血漢っていう図が。そういう自分に腹を立てているような、色気ある怒り顔とか好きー。大好きー。ガラスの仮面の速水真澄とか、高慢と偏見のダーシーとか。その系譜。 好きだなー。

ライナスでいうと、サブリナをデートに誘いだして、話しているうちに自分のほうがその気になってしまって去りがたいんだけど、でも、帰らなくちゃと去っていくときの、肩で後じさりするような、ひきはがされるような足取りの去り方がよかった。

そして、堅物のライナスは最後まで自分の気持ちを認めようとしないので、まわりのひとがちょっとからかっては怒られるかんじとかも、べただけど好きー(水城秘書パターン)。

で、最後には、弟デイビッドが自分が悪者・道化役になって、兄の本音を引き出すのに手を貸してやる、そういうところも好き(サブリナは兄の財産にめがくらんで心変わりしたんだー、みたいなことをわざと言って、兄に自分をなぐらせる。そしてふんぎりをつけさせる)。 いやー、いいなあ。

ステージが始まった最初の印象は、あー、宝塚のひとたちってなんて華奢で細いんんだろうということで、そのことが気になっていました。このあいだロンドンで舞台をまとめてみたので、その印象が強かったからでしょう。とにかく、娘役さんはもちろん、男役さんもみな細いから。華奢だなー、ということが印象的でした。

それが、このミュージカル、最初は歌や踊りが多かったのですが、後半、ライナスとサブリナの展開、ということになってからは台詞中心になってきて、そのあたりで、やられました。

ライナスを演った真飛聖(まとぶせい)さん、デイビッドを演った一帆壮(かずほそう)さん、が素敵だった、というのももちろんあるんだけど、たぶん、物語の型として好きなパターンというのも大きいです。 サブリナ(蘭乃はなさん)、小柄なかわいらしい天真爛漫なかんじの女の子でした。