『アフリカーンス語への招待』

アフリカーンス語への招待―その文法、語彙、発音について』(河崎靖著、現代書館、2010年)

南アフリカ共和国での、サッカー・ワールドカップが始まりました。その南アフリカ共和国を中心に話されている言語「アフリカーンス語」について日本語で書かれた初めての文法書です。

「序」より
 アフリカーンス語は、南アフリカ共和国を中心として、主にアフリカ南部で使用されている言語である。かつて南アがオランダの植民地であった時代のオランダ語を母胎として、そこにいくらかのフランス語・ドイツ語などの欧州諸言語、さらにマレー語や現地の言語が融合してできあがった言語である。こうした事情から系統的にはゲルマン語派に属し、現在南アフリカ共和国公用語の1つとなっているのは「はじめに」で触れたとおりである。すなわち、言語学的にはもともとオランダ語の方言(17世紀のゼーラント方言)であったことばが、南アフリカの旧白人政権のもと正式の国語となり、オランダ語から独立した言語となったと言える(基礎語彙はなお多く共通している)。言ってみればアフリカーンス語の文法はオランダ語文法がいわば簡略化したもの(例:名詞の性の区別がない、動詞が人称変化しない、等)であり、オランダ語や低地ドイツ語の話者はアフリカーンス語母語とするものと、予備知識なしでも、ある程度、相互理解が可能であると言われている(12)


「目次」より
1.文字と発音/ 2.文法への第一歩(基本的な動詞)/3.文法(名詞類を中心に)/4.代名詞・指小辞/5.過去時制・話法の助動詞/5.過去時制・話法の助動詞/6.形容詞・序数詞・前置詞/7.未来時制・受動態・不定詞/8.分離・非分離動詞、関係代名詞/ 9.否定・従属分/10.再起動詞・比較

アフリカーンス語への招待―その文法、語彙、発音について

アフリカーンス語への招待―その文法、語彙、発音について

オランダ語誌―小さな国の大きな言語への旅

オランダ語誌―小さな国の大きな言語への旅

アフリカーンス語については、拙著『英語の改良を夢みたイギリス人たち』の第七章「簡略綴り字協会と国際語としての英語―大英帝国のなかの綴り字改革論」のなかで、第一回帝国教育会議(1911年)でなされた、南アフリカ連邦の「簡略化されたオランダ語」についての報告をとりあげたときに、少しふれました。そのときに拝読した、河崎先生の御訳書『オランダ語誌―小さな国の大きな言語への旅』で、アフリカーンス語について少し触れてあったので、もっと詳しく知りたいと思っていました。

アフリカーンス語母語話者の吹きこみによるCDもついているのも、ありがたいです!