『ブライト・スター』

『ブライト・スター』Bright Star (2009年、 ジェーン・カンピオン監督)

イギリス、ロマン派詩人ジョン・キーツ(1795−1821)の夭逝する前の数年の恋と詩作を描いた映画。 恋人ファニー(アビー・コーニッシュ)の目から、キーツベン・ウィショー)との恋が描かれていて、もう、どっぷり恋です。若者の一途な恋。手紙が来たといっては喜び、来ないといっては嘆き、そういう世界。ロマン派です。蝶のシーンなんかすごい。

映画では、キーツの詩も多く引用され(タイトルの「ブライト・スター」は、キーツがファニーに宛てて書いた手紙に添えた詩の題)、これは監督のキーツへの恋文ねというかんじの映画でした 。いや、こういう作品のために、オマージュという言い方があるわけですがー。

ファニーの中流階級の女性で、無一文どころか借金まで負っている無名詩人との結婚は許されない。アビー・コーニッシュが演じています。洋裁が好きで、パーティに着て行くドレスのフリルやプリーツを自分で縫っています。 布に針を通しているシーンが映画冒頭に映り、これが、妙に色っぽいです。 そのほか、主人公や妹の衣裳も手作り感が出ていて、とても丁寧でいい感じ。

初対面のファニーがキーツWould you like some biscuits?と最初に聞くところのイントネーションが上昇ではなく、下降で、これから化学反応(chemistry)が生まれるふたりの関係の最初の緊張感を表わしているようです。

それにしても、アビー・コーニッシュは、オーストラリアの女優さんながら、『エリザベス・ゴールデンエイジ』の侍女といい、この映画といい、イギリスコスプレ映画がお似合いー!

対訳 キーツ詩集―イギリス詩人選〈10〉 (岩波文庫)

対訳 キーツ詩集―イギリス詩人選〈10〉 (岩波文庫)