『17歳の肖像』

17歳の肖像』An Education  (ロネ・シュルフィグ監督 2009年)
大学入試を控えた16歳の主人公(キャリー・マリガン)は、偶然年の離れた男性(ピーター・サースガード)と出会い、彼の示す「大人の世界」に憧れる。そのあこがれのまえには、オックスフォード大学に入るという人生最大の目的も色あせてしまうー、という話。

さて。 一番強く思ったのが。 ピーター・サースガード。 このひと「ニュースの天才」のイメージが強くて、ハリウッドの堺雅人とひそかに呼んでいたのですがー。なんというか、「17歳のおぼこい主人公にはかっこよく見えるけれど、普通にみると、はやばやと中年体型になってしまった冴えない30男」にしか見えない役柄がはまりすぎ!

主人公のお父さん(アルフレッド・モリーナ)は、かなり俗物的人物として描かれているのですが、自分が大学にいかなかったために、そのことでびくびくしていた(I was scared)、子どもにはそういう思いをさせたくない、と心情を吐露するところが感動的。二戸一でつながった家(semi-detached house)に住み、教育費を懸命に捻出する下層中流階級の家庭です。

大人の世界に魅惑され、勉強をつまらないと思うようになる主人公を、思いとどまらせようとするけれど、うまくいかない古典語の先生(オリヴィア・ウィリアムズ)の台詞も印象的でした。You think I'm dead. 生徒の目には自分が単調なつまらない人生を送っているようにしか見えないのだろう、という諦めと自嘲の台詞。

read English(大学で英文学を専攻する)という言い方が、ネイティブのあいだでも、知らないひとは知らない言い回しだというのが描かれていて、なるほどねーと思いました。

映画 17歳の肖像 オリジナルサウンドトラック

映画 17歳の肖像 オリジナルサウンドトラック