『機関車トーマスと英国鉄道遺産』

機関車トーマスと英国鉄道遺産』(秋山岳志著、集英社新書、2010年)を読みました。著者の秋山さんの『英国運河の旅』や『イギリス式水上極楽生活』『英国「乗物遺産」探訪』を面白く読んでいたので、トーマス本を執筆中と伺って以来、楽しみにしていました。とてもおもしろかったです!

子ども達をつれてトーマスイベントや、各地の保存鉄道を回ったときのことを思い出してわくわくしました。トーマスの仲間たちの色や、名付け(実名か仮名かなど)について、実際の鉄道事情との関連がとてもおもしろかったです。ジェームズが赤から青に変わったものの、赤に戻った本当の理由や、最初のディーゼルに名前がついていないのも、なるほどそういうわけだったのかと目から鱗が落ちました。

この本に出てくるイギリスの保存鉄道のなかでは、フェスティニオグやスノードンに行きました。スノードンは霧が深くて中腹までしか行けなかったのを、息子たちは今でも残念がっています。機関車トーマスに乗れるイベント「デイアウト・ウィズ・トーマス」は、ノーサンプトン&ランポートで何回か行きました。マン島は、毎夏行きたい行きたいと思いながら、なかなか行けないのですがー。

ところで、あとがきに、「論文テーマを『トーマス』にします」と申し出る学生がいたら、担当教員はそれを受け入れるだろうか」(p.214)とありましたが。私見としては、十分ありだと思います^^ 

実は、数年前に「機関車トーマスを走らせるボランティアたち −もてなしの余暇活動−」という口頭発表を「旅ともてなし・にし・ひがし−西欧との比較−」というシンポジウムでしました(2006年3月18日)。子どものトーマス熱、機関車熱が一番高かったころで、フェスティニオグに行ったころです。ただ、あくまでも、イギリス社会と保存鉄道におけるボランティア活動という視点から話したものであり、この本で書かれてるような、ウィルバートの作品分析ではありませんでした。そう言われてみると、たしかに、トーマスを扱った文学研究の作品分析的なものは寡聞にして知らないかも(網羅的に調べたわけではないので自信はありませんがー)。

ピーター・ラビットやくまのプーさんハリー・ポッターも出てきて、イギリス文化論としても、とてもおもしろい本でした。

機関車トーマスと英国鉄道遺産 (集英社新書)

機関車トーマスと英国鉄道遺産 (集英社新書)

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