ハリウッドの悪役はイギリス人?

イギリスの『テレグラフ』紙のTelegraph.co.ukのサイトで、イギリスの大女優ヘレン・ミレンが、「ハリウッド映画は悪役をイギリス人にするのをやめてほしい」(Hollywood should stop portraying villains as British)とインタビュー記事を読みました。(→この記事です)。ちょうど月曜日の授業で、ミレンがアカデミー賞主演女優賞をとった映画『クィーン』の英語について、話したところでした。

記事のなかで例としてあがっているのは、『ダ・ヴィンチ・コード』のポール・ベタニーや、『羊たちの沈黙』のアンソニー・ホプキンス、『スター・ウォーズ』のクリストファー・リー、『Xメン』のイアン・マッケランなど。(『ロード・オブ・ザ・リング』のクリストファー・リーもあがっているのだけれど、あれは、主人公たちもみなイギリス英語なので、ちょっと違いますね^^)

映画の数、全体のなかでは、特に多いこともないんでしょうがー。大作にイギリス人俳優を悪役で起用する例が多いのでしょうか。(拙宅家人@イギリス人も、よく、アメリカ映画ではイギリス人はいつも悪役だとぶつぶつ言っている…。)

そういえば、二年ほど前に公開された『アイム・ノット・ゼア』を見たときに、同じようなことを感じました。ボブ・ディランの生涯を6人の俳優が演じ分けたトッド・ヘインズ監督の野心作。

アイム・ノット・ゼア [DVD]

アイム・ノット・ゼア [DVD]

ここで印象的だったのが、ケイト・ブランシェットが演じる「ロックスターとしてのボブ・ディラン」を、いやらしく追い詰めようとするBBC放送の記者(ブルース・グリーンウッド)でした。パンフレットによるとタイム誌の記者がモデルだとか。ということは、アメリカ人だったのかも。

映画では、この記者の話す、いかにもイギリス標準語というBBC的英語が、本当に悪者英語として扱われていました。BBC風の英語って、妙なもので、対比のしかたによって、ものすごく嫌味な権威主義的保守的なものの象徴性を担わされてしまいます。ちなみに演じる俳優グリーンウッドはカナダ人。