けんか萌え

 このたび刊行された「『サウンド・オブ・ミュージック』で学ぶ欧米文化」(野口祐子編著、世界思想社。詳しくはこちら)のなかで、私が書いた「第3章「ドはドーナツのド」ではない?―『サウンド・オブ・ミュージック』の英語」は、第1節 オーストリアを舞台にした英語の映画、第2節 ♪ドレミの歌♪を英語で歌おう、第3節 話し方の変化と恋愛力学―トラップ大佐、マリア、男爵夫人、という構成です。

この章のもとになったのは、2008年10月4日から5回シリーズで始まった京都府立大学リカレント学習講座「『サウンド・オブ・ミュージック』で学ぼう英語と欧米文化」の中で私が担当した第3回(10月18日実施分)でした。講座の準備をしていたときの日記です↓

2008年10月某日

 「サウンドオブミュージック」講座準備継続中。胃が痛いのは、この準備のためか。 しかし、何度も音楽を聴いたり読んだりネタを考えたりしているうちに、だんだん愛着がわいてきたかも。

 マリアと大佐が激しく言い争う場面は、けっこうぞくぞくします。 考えてみれば、恋愛もので互いに衝突していた二人が最後は、といういわゆるロマコメ王道ストーリーで、激しく口論する場面は、かなりツボなのであった。


 「高慢と偏見」(BBC)で、最初のプロポーズを断られたダーシー(コリン・ファース)が逆切れして、わあわあ声を高くして威圧的に話すところとか。 「ユー・ガット・メール」のはじめのほうのパーティで、キャサリンに正体のばれたジョー・フォックス(トム・ハンクス)が、開き直って居丈高にまくしたてるところとか。

 惹かれている女に痛いところを突かれて、実は傷ついているのに、その傷に気付かないで、それを怒りに満ちた言葉で滔々と述べ立ててしまう男の色気に、実はかなり弱い。ああ、そうそう。こういうときにこそ「萌える」ということばを使うんでしょう。

『サウンド・オブ・ミュージック』で学ぶ欧米文化

『サウンド・オブ・ミュージック』で学ぶ欧米文化