『ザ・エージェント』と言葉遣いのしつけ

ザ・エージェントJerry Maguireキャメロン・クロウ監督、1996年) をBSでやっていたので見ました。

スポーツ選手の契約を扱う会社で活躍していた男(トム・クルーズ)が、理想を唱えたために解雇され、ただ一人賛同してくれた経理の女性(レニー・ゼルウィガー)と独立。挫折を味わいながらーという話。主人公が、落ち目になっても「仕事ができて二枚目な俺」の自己イメージから抜けられないかんじを、絶頂期のトム・クルーズが、ちょっと突き放してコミカルに、それはそれは楽しそうに演じています。

レニーは夫が亡くなり、6歳くらいの男の子を育てているシングル・マザー。汚い言葉を使わないように、しつけている様子が、男の子と主人公の会話からうかがえます。夜なのに「動物園に行こうよ」と男の子が主人公にせがむ場面です。

主人公: The fucking zoo is closed. (くそ(fucking)動物園なんてしまってるんだ)
男の子: You said fuck. I won't tell. (fuckって言ったね。僕は言いつけないよ)

普段から、fuckのような卑語を使ってはいけないと母親に言われているのがわかります。きちんと育てているという印象を与えるエピソードでした。それをママには言いつけないよ、という共犯意識も楽しい。

アメリカ映画を見ていると、fuckやshitというスラングが多いので、ごく普通に使われているような気がしてしまいますが、一方で、このような言葉遣いのしつけや、卑語使用についての眉をひそめるような反応が描かれているのも、よく目にします。

先日見た『バレンタイン・デー』(→この日記)では、全裸でガールフレンドのベッドにいるのを彼女の母親に見つかった男子高校生が、Shit!(くそ、しまった!)と言って出て行こうとしたのに対して、いいのいいの大丈夫よ、と対応した母親の台詞が I've heard of the word before.(その言葉(=shit)は、前にも聞いたことがあるから)でした。問題なのは全裸よりも言葉か、で、ちょっとした笑いをとる場面。