『ドイツ保守革命』

ドイツ保守革命ホフマンスタール/トーマス・マン/ ハイデッガー / ゾンバルトの場合』(青地伯水編著、友田和秀・國重裕・恒木健太郎著、2010年、松籟社)。京都府立大学欧米言語学科の青地先生編著書で、府立大学共同研究員の恒木先生も執筆していらっしゃるご本をいただきました。

目次
多様な保守革命―序文にかえて
第1章 ホフマンスタール保守革命 青地伯水
第2章 ジンテーゼを求めて―トーマス・マン保守革命 友田和秀
第3章 マルティン・ハイデッガー保守革命 國重裕
第4章 ヴェルナー・ゾンバルト保守革命―「資本主義的精神」と「ドイツ社会過ぎ」の精神 恒木健太郎

本書で取り扱う「ドイツ保守革命」とは、いわゆるヴァイマル期ドイツ―亡命したトーマス・マンの場合はナチ時代も含めて―における、「国民社会主義」(ナチス)とは一線を画する、保守思想の総称である。(p.9)

序文から第1章を読み始めたところなのですが、ホフマンスタールの『チャンドス卿の手紙』(1902)に、フランシス・ベーコンヒエログリフが出てくること、「チャンドスの言語懐疑、言いかえるならヒエログリフ言語世界の瓦解は、モデルネの言語学、とりわけ記号論と関連づけられている」(p.84)ことなどを、とてもおもしろく読んでいます。この時期の文字観、言語学観に興味があるので。