『ロック・ミー・ハムレット!』と頭文字を使った呼びかけ

ロック・ミー・ハムレット!』(Hamlet 2、アンドリュー・フレミング監督、2008年)をDVDで見ました。お下品おばかコメディ。でも、手堅く面白おかしかった。

売れない俳優(スティーブ・クーガン)が、高校の演劇クラスの講師として、ハムレット続編を上演しようとします。SFミュージカル仕立ての性的宗教的に現代的・進歩的な内容に、校長は上演を禁止するがー、という話です。映画パロディ満載なので、クーガンが出ていた別の下品グロ系(?)コメディ『トロピック・サンダー』を思いだしたり。

英語ネタとしては、生徒たちが教師を呼ぶときの、「敬称+姓のイニシャル」を使った呼びがおもしろかったです。「ミスターM」のように呼んでいたので。

教師の名前は、Dana Marschz。この姓は字幕には「マシューズ」と出ていますが、「発音が難しいかわった姓」という設定になっていて、「マーシュ」に近いような音で呼ばれていたり、いろいろです。彼のクラスに出ているのは、他の授業が受講できなかったために演劇のクラスに流れてきたやる気のない生徒たちなのですが、奇想天外な劇にだんだん熱中しはじめます。そして、親しくなるにつれ、教師のことをMとか、Mr.M(ミスター・エム)と呼ぶようになるのでした。

生徒が教師を呼ぶのは、普通「敬称(ミスターなど)+姓」ですが、「ミスター+姓の頭文字」というのは、これをもう少しインフォーマルにた、親しみを込めた呼び方になります。もちろん、ファースト・ネームで呼ぶよりはフォーマルなわけですが。

そういえば、ロサンゼルスの公立高校を舞台にした「フリーダム・ライターズ」でも、生徒が教師に心を許してきた後半では、「敬称+イニシャル」(Ms.G)という呼びかけが使われていました。

ロック・ミー・ハムレット! [DVD]

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…ところで、この映画では、主人公が演劇指導のなかで、いろいろな映画の場面や台詞について語ります。そのなかに、「マスター・アンド・コマンダー」が出てきたのが個人的には、ヒットでした。 妨害の手が次々に伸びてくるときに、主人公が生徒に向かっていうのが、"This is the first shot across the bow, boys and girls. Just like that wonderful film, Master and Commander, starringi the terrifying real Aussie badboy Russell Corwe." このThis is the first shot across the bow, boys という台詞が、マスター・アンド・コマンダーのどこに出てきたのか、見直さないとわからないのが不覚ですー。boys and girlsは、もともとはboysだけ(船長の船員への台詞なので)。

ところで、スティーブ・クーガンがAussieと言ったときの子音が、/z/の音でなくて/s/だったので(オシ)、あれ、と思って辞書を引くとなるほど二通りあるのでした。クーガンはイギリス人。ここではアメリカ人役です。

(「ハムレット」日記はこちら、「フリーダム・ライターズ」日記はこちら、「マスター・アンド・コマンダー」日記はこちら