英語学の定期試験

英語学B/言語文化論IIの試験の日でした。持ち込みなしの試験で、教科書『社会言語学入門』(東照二著、研究社)から出題します。試験範囲は、講義で話した範囲よりもせまく、特にしっかり復習してほしいところをあらかじめ指定してあります。たとえば、こんな問題を出しました。

次の英文の太字部分を日本語に訳しなさい。また、この英文(全文)の言語的特徴をできるだけ詳しく論じてください。
. . . she pointed to de dark one and said, “Dat’s you, Alphabet, don’t you know yo’ ownself?” Dey all useter call me Alphabet ‘cause so many people had done named me different names. Ah looked at de picture a long time and seen it was mah dress and mah hair so Ah said: “Aw, aw! Ah’m colored!” Den dey all laughed real hard. But before Ah seen de picture Ah thought Ah wus just like de rest.

この英文は、アメリカの作家ゾラ・二ール・ハーストンのTheir Eyes Were Watching Godの一節です。黒人英語の特徴を表した英文の例として、『社会言語学入門』81ページで引用されていました(邦訳は↓)。

彼らの目は神を見ていた (ハーストン作品集)

彼らの目は神を見ていた (ハーストン作品集)

例年はこうした問題を作るときに「標準英語に書き換えなさい」という設問にしています。けれども、さまざまな英語の多様性を論じるときに、いつもいつも標準英語を中心に考えなくてもいいのだという視点を考え、今回は、書き替えを省いてみました。

(「標準英語」も多様だという日記は→こちら