卒論試問とハロルド・ピンター『管理人』
昨日から、国際文化学科の卒論試問が始まりました。一本の卒論を三人の教員が読み、一時間近くかけてその論文についての質疑応答を行います。学生さんにとっても教員にとっても、10月の中間発表と並ぶ卒論のヤマ場です。
昔話になりますが、私は卒業論文で、ハロルド・ピンターHarold Pinterの戯曲『管理人』(The Caretaker)を取り上げました。決してできのいい論文ではなかったので、試問でもいろいろと厳しいコメントをいただいたはずですー。テーマ選びに迷い、取りかかりが遅かったため、提出の日の午後にまだ参考文献リストを作っていたくらいでした。
でも、二十年以上たった今も覚えているのは、ただ一か所、ほめてもらったところのことです(→記憶のなかで美化されている可能性大^^:)。登場人物によって、直接話法を多用するか間接話法を多用するかの違いがあり、それが人物造形にかかわっていると指摘したところを、演劇専門のK先生が、これは僕も気がつかなかったと言ってくださったこと。そして、英語学専門のT先生が、話法などの文体分析に興味があるなら、ロジャー・ファウラーの『言語学と小説』が参考になると教えてくれたこと。
修士課程に進学したあと、英語学で話法や文体分析を勉強することにしたのは、この卒論試問での指摘があったからでした。
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