『戦場からの脱出』のベトナム戦争

wowwowで今夜10時から放映している『戦場からの脱出』(Rescue Dawnヴェルナー・ヘルツォーク監督、2006年)。ベトナム戦争時に、特別任務を帯びた米軍パイロット(クリスチャン・ベール)が撃墜され、ラオスのジャングルのなかで捕虜となったあとの、脱出とサバイバルの物語です。日本では劇場未公開、DVDスルーでした(しかも、T4公開に合わせて、昨年夏やっとDVDが出たー)。

ミスター・ストイックの異名をとるベールの役者魂が、行きすぎにならない、人に好かれる主人公の範囲内で、いかんなく発揮された映画(→『パブリック・エネミーズ』日記はこちら)。 虫を食べたり、蛇を食べたり。過酷な状況でのサバイバルストーリーで、拷問場面など、わたしにはかなり厳しかったのですが(R-13より上では、という印象)。でも、ストーリーに基本的な人間味と救いがありました。

映像的にも、ラオスの密林で捕虜となった主人公の視点が、説得力をもって表現されていました。たとえば、現地住民の言葉に、字幕がついていなかったこととか(>日本ではDVDも出ないのではないかと思って、米版DVDを二年ほど前にみたので、日本語版DVDではどうなっているのかチェックできていませんがー)。また、密林のなかで、意識がもうろうとしていくところの、蛭が気味悪く吸い付いていくような映像とか。

もっとも、サバイバルものとしてはとてもおもしろいのだけれど、ベトナム戦争という文脈で、アメリカ軍を共感的にのみ描いていることは、やっぱり設定として受け入れにくかったです。アメリカ国内向けのローカルな映画かも。