毒づく編集長@『消されたヘッドライン』

消されたヘッドライン』 State of Play 2009年ケヴィン・マクドナルド監督

消されたヘッドライン [DVD]

消されたヘッドライン [DVD]

民間傭兵会社に関する政治スキャンダルを暴こうとする新聞記者たちの物語。今春の公開時に見ておもしろかったのでDVDでもう一度見ました。

ワシントン・ポスト」紙をモデルにした「ワシントン・グローブ」紙の敏腕女性編集長を演じるヘレン・ミレンが、言うことを聞かない部下の新聞記者(ラッセル・クロウ)を叱りつけ、怒鳴りつける台詞が圧巻。

The real story is the sinking of this bloody newspaper! Christ! (記事にすべきなのは、このひどい新聞の落ちぶれ方よ!)

bloodyは俗語で、「ひどい、どえらい」(『リーダース英和辞典』第2版。「どえらい」というのもちょっと使いにくい訳語ですがー)という強意語で、b---dyと伏字にされることもあります。

ヘレン・ミレンといえば、『クイーン』(2006年)でエリザベス女王を演じてアカデミー賞主演女優賞を取ったときの、王室英語(まさにクイーンズ・イングリッシュ!)が見事でした。『消されたヘッドライン』では、イギリス標準英語発音は保っているものの、語彙には、女王ならば決して使わないであろう俗語(スラング)が頻出。Bugger off!(さっさと消えて!)、wanker(ろくでなし)などは、日本語訳ではニュアンスが伝わりにくいのですが、上品で知的な雰囲気のヘレン・ミレンの口からぽんぽんこういう言葉が飛び出すと、ちょっとはらはらするというか、笑えます。

字幕で気になるのが、Pointcorpsという民間警備会社が、「ポイントコープ」と表記されているところです(>こちらはブラックウォーター社がモデル)。corps(軍団、兵団、隊)のpとsは読まない文字(黙字)で、発音は「コー」。なので、英語の音としては「ポイントコー」と言っているのですが、日本語字幕にすると間が抜けた感じがするのでしょうかー。