『植民地朝鮮の宗教と学知―帝国日本の眼差しの構築』

『植民地朝鮮の宗教と学知―帝国日本の眼差しの構築』 川瀬貴也著(青弓社、2009年)

京都府立大学文学部同僚の著者の先生にいただきました。ありがとうございました。

国際文化学科で折に触れてお話をきいていたとはいえ、私にとっては専門外の分野なので、ハードルが高そうーとおそるおそる頁を繰り始めたのですが、「はじめに」で「学知」「眼差し」「構築」といった言葉が、明解に鮮やかに説明されていくのを読みながら、「問題の所在」を明晰に整理された形で知ることができ、わくわくしました。

第2章「日本キリスト教の朝鮮布教とその言説」から読み始めたところです。

第3節「日本キリスト教の朝鮮布教―日本組合教会の事例」で、渡瀬恒吉、柏木義円吉野作造といった重要人物の言説が、伝記的背景や写真とともに紹介されているところを特に興味深く読みました。「主だった日本キリスト教宗派信者数の統計表」(p.95の表2)を見るときに、まず英国聖公会の推移を見てしまうというような、偏った読者ではありますが、「日本キリスト教の朝鮮布教について、主に各派の機関誌の論説からキリスト者の『心性』を再構成すると同時に、朝鮮総督府の宗教政策の流れを見てきた」(p.106)この章をとても面白く読みました。ありがとうございました。

植民地朝鮮の宗教と学知―帝国日本の眼差しの構築 (越境する近代)

植民地朝鮮の宗教と学知―帝国日本の眼差しの構築 (越境する近代)