王立科学研究所

myama-kpu2009-08-14

ロンドンの王立科学研究所(Royal Institute)を見学しました。

拙著『英語の改良を夢みたイギリス人たち―綴り字改革運動史1834−1975』の第二章「ロンドン学務委員会の請願運動」の主人公である物理化学者ジョン・ホール・グラッドストン(1827-1902)は、1857年に王立科学研究所の客員研究員となり、1874年にはフラー化学教授職につきました。


『英語の改良を夢みたイギリス人たち』第二章より引用

「それでは、物理化学者としてのグラッドストンの学問的・社会的な達成は、綴り字改革運動においてどのような意味を持っただろうか。たとえば、グラッドストンがロンドン学務委員会請願運動に取り組もうとした1876年1月のことを考えてみよう。1876年のこの時期にグラッドストンは、王立科学研究所のクリスマス講義を担当していた。これは王立科学研究所が青少年への科学知識の普及を目指して、1825年の冬に始めた恒例の人気講座である。マイケル・ファラデーが、日本でも親しまれてきた「ロウソクの科学」を1861年に講じたものこのクリスマス講義においてであった。ジョン・ホール・グラッドストンは1876年の冬に、彼にとって二度目のクリスマス講義を担当していた。すなわち、ロンドン学務委員会で綴り字改革の請願を呼びかけたのは、十分な社会的地名度をもった科学者だったのである」(p.82)

現在の王立科学研究所は、図書資料類は閲覧できる状態ではなく、廊下や部屋の一部に簡単な展示があるくらいでした。それでも壁一面の書架に古い書物を並べたまま建物が残されているので、当時をしのぶよすがとなりました。

現在の活動について詳しくは王立科学研究所ホームページを。