ひつじメールでスペリング・ビー紹介

言語学学術出版社ひつじ書房メーリングリストに入っていますので、定期的に「ひつじメール」が送られてきます。

8月5日付の「ひつじメール」のスタッフ日誌のなかで、『英語の改良を夢みたイギリス人たち』をとりあげていただきました。ありがとうございました! 

拙著を読んでくださったスタッフの方が、スペリング・ビーの歴史についての記述を読んでいるうちに、昔読んだ『大草原の小さな町』に出てきた一場面がスペリング・ビーの場面だったのだと思い至ったというお話でした。さっそく『大草原の小さな町』を読んでみることにします。

大草原の小さな町―ローラ物語〈2〉 (岩波少年文庫)

大草原の小さな町―ローラ物語〈2〉 (岩波少年文庫)

『英語の改良を夢みたイギリス人たち』では、第一章「代表的綴り字改革論者アイザック・ピットマンの生涯―速記考案者の読み書き改革」の第一節「綴り字コンテストの時代の綴り字改革運動家」で、スペリング・ビーと呼ばれる綴り字コンテストが、1870年代の半ばにアメリカからイギリスに伝わり、大流行したことを述べました。

第一節の結論部分を引用しておきます。

「1870年代後半には、スペリング・ビーが短期間とはいえ流行し、同時にアイザック・ピットマンたち綴り字改革論者たちの運動も、かつてないほどの高まりを見せた。その背景にあるのは、読み書き教育が普及し、識字率が上昇し、読む能力だけでなく書く能力や正しく英語を綴る能力が、社会の成員に当然のように要求されるようになってきたという時代状況であった。そして、読み書き能力についてこのような捉え方をするようになった社会であるからこそ、一方で綴り字能力を賞金を懸けて競うコンテストが大流行し、他方で綴り字改革運動が社会的な話題にもなり得たのである。綴り字競争(スペリング・ビー)と綴り字改革(スペリング・リフォーム)は、綴り字関する社会の意識が高まった時代において一枚の硬貨の表裏のように現れた現象であったのだ。」(pp.37-8)

スペリング・ビーについては、もう少しあれこれ調べてみたいと思っています。