先生と再会ランチ

京大の英語英文学科で3回生のとき授業を受けていたリンダ・クロフォード先生と、同じく先生の授業を受けていたアメリカ文学科の先輩と、ランチをご一緒しました。先生は非常勤でライティングを教えにいらしていて、文学部の旧東館の一階を入ってすぐ左のところの教室で授業を受けていました。

アメリカから来た、意志の強いフェミニストの先生!というイメージで、当時はちょっと怖かった。ライティングの授業の指定テキストがシソーラスとMLAスタイルガイドで、授業で使うというよりも、持っておくべき参考書として指定されたのだとわかったのは、随分後になってからのことでした。

英語のエッセイを書くときには、まず導入(introduction)でSay what you will say、次に本文(body)でSay what you want to say、それから結論(conclusion)でSay what you have said.だということを習ったことは印象的で、これは今でも授業で言っていますー。

先生の授業で、「書くこと」の本質を学んだという先輩は、先生のライティングの授業を受けた学年から女性が3人も記者になったこと、それは均等法施行前でもあり本当に大変なことであったこと、などを話していて、ああそうだったのかーとそれもまた新鮮な思いで聞きました。

また私にとってもう一つ忘れられないのが「根付」。先生は当時,根付を集めていらしたのですが、私は恥ずかしながらそのとき根付を知らなくて、ネツケなんていうものは日本にはありません、と言ったのですよー。。ああ本当に恥ずかしい。日本文化よりもヨーロッパ文化に興味を持っていたからこそ、英語英文学科に進んだわけですが、まあそれにしても、恥ずかしい限りです。いえいえ、あなたは間違っていますよ、というようなことをきっぱりと言われたことと思います。その後、私にとって、ネツケといえばクロフォード先生、クロフォード先生といえばネツケで、とにかく、日本人だからといって外国の人より日本のことを知っているわけでは決してない、という当たり前のことに気づいた最初の経験でした。

今日その話をしたら、先生は、似たような経験は何度もしたとおっしゃって、たとえば京都の通りについて「御池あがる」といったら、「のぼる」だと日本人の知人に注意されたとか、柏餅の味噌餡の話をしたら、そんなものないと言われたとか。まあ、私だけではないのですね、と思いながら先生のご苦労がしのばれました。。

でも今回、30年越しのリユニオンがかなったのはこの根付事件のおかげであるかもしれません。一昨年、京博の「禅」展で、英語で熱く語っている女性がいるなーと思ってみたら先生らしき方だったので、もしやクロフォード先生ですか、とお声をかけたところそうだったのでした。授業を受けて以来初めてお目にかかったのに、先生だとわかったのも、やはり日本文化通の先生、ということがはっきり記憶に残っていたからだと思います。

ところで、クロフォード先生、息子さんが、俳優としてご活躍だそう。ブレーク・クロフォードさん。現在公開中の『嘘八百』にも堺生まれのイギリス人役で出演されているそうです。ちょうど、見に行こうと佐々木蔵之介ファンの先輩と話していたところでした!