『イントゥ・ザ・ウッズ』のウ

『イントゥ・ザ・ウッズ』。グリム民話パロディであるブロードウェイミュージカル原作(ソンドハイム作詞作曲)の映画化。ロブ・マーシャル監督。同僚の演劇研究者S先生からの熱いお勧め文句は「テンポが速いのでおもしろい、赤ずきんが生意気」。それからシネフィルの友人からは「バカ王子水浴びシーン必見」とのお勧めも。というわけで、各方面からのお勧めポイントを胸に、見に行ってまいりました。

たしかに、テンポが速い!え、え、もうそこですか、というかんじの飛ばし方が爽快です。赤ずきんの生意気さは、普段生意気な子どもの相手をしているのであれくらいなら全然OKという気もしましたが、まあ、この種の映画のなかでは出色の生意気ぶりかも。バカ王子シーンについては詳述を避けます(笑)。

映画のなかの英語、という視点から印象的というか、これは授業で使おうと思ったのは、Woods(森)の発音。最初の/w/が日本人学習者には難しいんですよね。ウッズというより、ゥウッズというかんじで、唇を丸めて力をいれてしっかりと/w/を効かせないといけません。(じつは3年前のロンドン大学夏期音声学セミナーで私が一番問題ありとされたのがこの/w/の発音でした。/l/と/r/や、/v/と/b/などは意識して発音しますが、なかなか/w/に気が回らないのですよね。)

子音/w/だけでなく、woodsの母音のウは、唇を丸めない日本語のウ違って唇を丸める母音。このあたりも含めて、新学期授業でお話したいと思います。

woodsの発音、映画のなかでは特に、エミリー・ブラント演じるパン屋のおかみさんの歌で、はっきりと聞き取ることができます。(エミリー・ブラント、『プラダを着た悪魔』の先輩秘書役で、授業でもよくお世話になっています。本当にいろいろな役がしっかりとお上手。みていて、この役がどちらに転ぶのかわからない女優さんですばらしいです)