『クレイジー・イングリッシュ』再び

「クレイジー・イングリッシュ」(1999)をゼミ(欧米言語文化演習:応用言語学)で見ました。すでにひと昔以上前の話ですね。カリスマ英語教師リー・ヤンの「最大声、最快速、最清晰」な「脱口而出」の「瘋狂英語」。簡単なフレーズを大声で叫びながら、英語口語に慣れていく教授法です。

クレイジー・イングリッシュ [DVD]

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日本でこの映画が紹介されたのは、小渕内閣が第2公用語論をしていたころでしたので、そうした時代背景なども説明しました。DVDの一部を見た受講生からの反応としては、団体主義的なところ、「宗教ぽくて怖い」という感想が多く、なるほど、そこが気になりますかとちょっと意外な気がしましたが、でも初めてみたらまあそうですね、たぶん。

久しぶりに見て、中国語との類推から、英語には重要でないトーンを強調しているところが多いなあと思いました。四声の三声を二重母音の指導に多用しています。大げさな身振りも添えて。英語のfall-riseと重なるのであまり違和感なく見てしまいますがー、語強勢はともかく、単語レベルのピッチ(音の高低)は英語では重要ではないですね。たとえば、アメリカ人に「洗手間在na」を言わせてnaの声調「意味が変わってしまうので通じない」と言っているところがあります。naをfall-riseの3声でいうのが正しく(where)、fallの4声だと違う意味になる(there)。こういうことは英語ではないですね。

ともあれ、このカリスマ先生、昨年の拙編著『世界の英語を映画で学ぶ』で紙幅を割いて取り上げる予定でしたが、やはりもう古いのと最近のDV疑惑で断念した経緯あります。結局は、「中国の英語が聞ける映画」のコラムで数行言及するだけになりました。。あとで、中国からの留学生のひとにきくと、学生時代実際にクレイジー・イングリッシュの講座に一度参加したことがあるとのことでした。ただ、大学のカリキュラムとは関係ないのに高額を課そうとしたことなどが問題となり、結局すぐに、キャンパス出入り禁止ということになったとかー。2000年ごろに日本で紹介されたときには、話題になりましたが、そんなことになっていたとは。

世界の英語を映画で学ぶ

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