『ダーク・シャドウ』

ダーク・シャドウ』(Dark Shadows) ティム・バートン監督。

ジョニー・デップ演じる吸血鬼は18世紀半ばのリヴァプール出身。1972年アメリカに復活という話。時代がかった感じをだすための擬古文的台詞がおもしろかったです。

たとえば、Fear me not. やMock me notのような命令文。Pleaseの意味でつかわれる Pray。And fight I shall.(戦おう)のような、語順やshallの使い方。You shall be harmed.なども。二人称にthou、呼応する動詞語尾に-stなども使われていました。

興味深かったのがジョニデ吸血鬼@18世紀半ばイングランド出身のoftenの発音。/t/を発音していました。

oftenを/t/ありで発音するのは、現在では一般にイギリス発音らしさを出すマーカーですが、一方で、「もともとこの語の発音はt音あり。その後15cごろt音が落ちて、それが米国に残っている。一方イギリスでは、近代後期に綴り字発音が優勢になり/t/が復活した」という説明も、この語に関してよくなされます。(一方で、近年の研究によると英米かかわらず初期近代から、この語の発音は両方あって揺れている、ということがわかっているようです)

ともあれ、この映画の設定ではoftenの発音は、no-win situationというか、どういう根拠でoftenの/t/あり発音を使っているのか、考え始めるとよくわからなくなります。まあ、単に「イギリス英語っぽさ」なんでしょうけど。

ところで、ジャッキー・アール・ヘイリー演じる下僕の英語が、そんなに訛がきつくないにもかかわらず「うんにゃ、いますだ」的な字幕になっているのはなんなんでしょうか。。

ダーク・シャドウ Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

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