『薩摩スチューデント、西へ』

『薩摩スチューデント、西へ』(林望著、光文社文庫)、読みました。このあいだ森有礼とホイットニーについての論文を書き(→関連日記)、今学期関連の授業をしていることもあって(→関連日記)、気になっていた小説です。

幕末に薩摩藩からイギリスに派遣された留学生一行19人の船旅話。全員偽名を使っていますが、有礼もそのなかの一人です。

それにしても、リンボウ先生の、資料渉猟のあとのリアリティある想像力に脱帽ー!はじめてみるものへの驚きを生き生き描写してあります。巻末の一行のその後が人生いろいろで物悲しいー。

登場人物の鹿児島弁の台詞がおもしろかったです。文字を脳内で音声化しないと意味がとりにくいところがあって慣れるまでしばらくかかったけれど。慣れてくると、ドラマや実体験(親戚)の音がうかびあがってくるかんじ。音声表記の問題としておもしろかったです。

薩摩スチューデント、西へ (光文社時代小説文庫)

薩摩スチューデント、西へ (光文社時代小説文庫)