『国際共通語としての英語』

『国際共通語としての英語』(鳥飼玖美子、講談社現代新書)、読みました。

国際共通語として英語を学び、使うことを主張しています。論旨明快で、近年の応用言語学・英語教育のこの件に関する主要な論を簡単に紹介しつつ論を展開してあります。短期的・実践的な教育政策論、でない、もう少し見通しの長い議論としておもしろく読みました。背景知識のない学生さんの、この主題への入り口として手頃な新書だと思います。

たとえば、山火事を英語ではforest fireというが、日本語直訳でmountain fireと言っても通じる。豪ではbush fireともいう、などの例が説得的。World Englishesの時代にコアになる部分をおさえる、という議論です。要点としては、「共通語なのですから、重要なのは、正確さでもなければ流暢さでもなく、「通じる」という「分かりやすさintelligibility」です(17)。「日本人が平常心で英語を自分なりに使いこなすためにこそ、英語は国際共通語、という割り切りが必要なのではないか」(192)など。

こうしたスタンスに対して自分はどう考えるか、など自問しながらの読書が、お勧めです〜!

国際共通語としての英語 (講談社現代新書)

国際共通語としての英語 (講談社現代新書)