ロンドン大学夏期音声学セミナー

ロンドン大学(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)の夏期音声学セミナーに参加しています。8月9日から20日まで。音声学についての講義と実習が毎日50分×6コマあります。

実習は10人くらいの小グループに分かれてのもので、私の入ったグループは大学教員を中心にした音声学既修者のグループです。Beverley Collins先生が発音一般、Jack Windsor Lewis先生がントネーションの指導担当です。

コリンズ先生といえば、名著The Real Professor Higginsを10年前に読んだことが、私のそれ以降の研究スタイルに決定的な影響を与えた心の恩師。感激です。

ルイス先生は、非常にエネルギッシュ。お互いの声がよく聞こえるようにできるだけ小さな輪になりなさいといって、椅子を直径2メートルくらいの小さな円形に並べてイントネーションについての聴き取りや発音の練習をしています。

このほか、Michael Ashby先生ほかによる講義は、学部生向き音声学の授業がベースです(実際、日本の大学からグループ参加している学生さんたちが何十人もいらっしゃいますし)。ただ、例として紹介される用例や文例が興味深く、また、自分が音声学を教えるときに、何をどのように話したらわかりやすいか、という観点からも大変勉強になります。

コリンズ先生、アシュビー先生の授業で、音声学の歴史についても随所で触れられるのがありがたいです。大学院留学時代にケンブリッジ大学言語学科で音声学・音韻論講義を受けたときには、音声学の歴史、音声表記の歴史への言及はなかったように思うのですが、これはやはりユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの伝統・学風かと思っています。(もっとも、今自分がそちらに興味があるので、そういう話が特に印象に残る、という事情もあるかもしれませんがー)

授業以外の時間は、寮の部屋で文献を読んだり論文を書いたり。春に発表したものの一つを何とか投稿できるかたちまで持っていきたいとおもっていますが、せっかくの機会なのでインプットに集中したい気持ちもあったり。まあ、24時間すべて自分の時間×二週間というのは、大変貴重な時間なのでできるだけのことをしなければと思いますー。

The Real Professor Higgins: The Life and Career of Daniel Jones

The Real Professor Higgins: The Life and Career of Daniel Jones