『ずっとあなたを愛してる』

『ずっとあなたを愛してる』Il y a longtemps que ju t'aime (フィリップ・クローデル監督 2008)

いい映画でした。 今年の第一四半期に見た映画では、私的ベスト1。

主人公がクリスティン・スコット・トーマスなので、英語と決めてかかっていたら、フランス語映画でした。イギリスの滞在が長かったから英語訛りのフランス語を話す、という設定でした。映画のはじめのほうで、子どもが英語訛りを指摘する台詞があります。私はフランス語の訛りは全然わかりませんが・・。

プロットは、(あえて単純化して書くと)15年の刑期を終えて出所した女性(クリスティン・スコット・トーマス)が、どのように社会復帰するのか、という話。ドラマとしては地味ですが、丁寧で、緊張感あふれる場面の連続で、最初のいくつかの場面で、ああ、これは大丈夫、と思えるようなそういう映画でした。

「男と寝たのよ」と言って妹と笑いあうところがいい。 美術館におそるおそる足を踏み入れるところがいい。 わかりやすい一般人の視点を持つ妹の夫を配しているところも手堅い。妹の家の本棚がいい(ロシア文学研究者と辞書編纂者夫婦)。

クリスティンも、彼女の妹役のエルザ・ジルベルスタインも、ノーメーク風で、でも、服も髪型もとてもシック。妹は「助教授の給料で服に高いお金を払うことは不可能」ということで、「H&Mや、スーパーのモノプリのカタログから洋服の写真を切り抜いて、衣裳チーフに渡した」そう(パンフレットの監督ノート)。

小説家クローデルの最初の監督作品。脚本も。読んだことがなかったので、小説を読んでみようと思いました(原作ではないけれど、たとえばこちら↓)

ブロデックの報告書

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