『グラン・トリノ』と呼びかけ方
『プリティ・ウーマン』に続いて、呼びかけ方(ファーストネームか苗字か)が印象的だった映画つながりでー)
『グラン・トリノ』 Gran Torino 2008 クリント・イーストウッド監督
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2009/09/16
- メディア: DVD
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あらすじ。かつて栄えた自動車産業が衰退したデトロイトの住宅地が舞台。妻に先立たれ、息子たちとも折り合いが悪い、一人暮らしの頑固な老人ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、隣家に住むモン族の一家に偏見を抱いている。そして、大事にしているビンテージカー「グラントリノ」を巡るある出来事から交流が始まるー
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ポーランド系やイタリア系の白人が住んでいた町が、さびれ、今ではアジア系、ヒスパニック系の町になっている様子、人種差別、マイノリティへの社会的チャンスの少なさ、などを描いています。
主人公がステレオタイプ化した人種偏見の語彙を、「男らしい話し方」として日常ためらいなく用いている様子がおもしろかったです。(公開時に映画館で見たので、あとでDVDで見直してこのあたりのスラングを拾っておこうと思います)
そして、そうした町のカトリック教会の若い神父の成長物語も、脇筋としてとても雄弁でした。この神父は、最初主人公に「ウォルト」とファースト・ネームで呼びかけ、信仰を説こうとしますが、うるさがられ、「ミスター・コワルスキー」と呼ぶように何度も訂正されます。コワルスキーはポーランド系の苗字です。
「ウォルト」と呼んでは、「ミスタ・コワルスキー」と訂正される、その繰り返し。やがて、関係性の変化とともに、呼びかけ方もかわってくるわけで、ここに二人の距離が象徴的に表されています。