『世界一キライなあなたに』

『世界一キライなあなたに』(シーア・シェアイック監督) を見ました。

ネットに流れてくる写真を見て神経質そうなイケメンとゴージャス美女の米ロマコメかと思って見に行ったら全然違って度肝を抜かれました。よくぞここまで外れた広告してるなというのと、でもそれを補って余りあるそれから映画自体のおもしろさに、ダブルで仰天。

生命倫理が主題。ウェールズ舞台です。

女性は、ウェイトレスの仕事を失ったルー(エミリア・クラーク)。彼女のの家は父(ブレンダン・コイル>ダウントン・アビーのベイツ)も失業中で生活が苦しい。男性は、2年前の交通事故で四肢麻痺となった大富豪の息子ウィルの世話をすることになります。でも実質的な介護はほとんど必要なく、仕事は「彼から目を離さないこと」

経済資本の差は文化資本の差を痛感させられる映画でした。ルーがどんどんきれいになるのは恋だけではなく、ウィルと過ごす贅沢で豊かな時間に磨かれるから。文化とは消費であり、それが洗練につながるー。

エミリア・クラークがこの役に本当によくあっていて彼女でなければここまでチャーミングな映画にはならなかっただろうと思います。「ゲーム・オブ・スローンズ」は見てないのですが、文芸物の主役にもあいそうなイギリスの女優さん。サムクラフリンもなかなかー。

「26歳になるまで字幕付きの映画を見たことがなかったなんて!」と男が言い、「31歳になるまでずっとそんなスノッブに暮らしてきたなんて!」と女が返す映画談義もいいのです。撮影監督「アバウトアボーイ」のレミ・アデファラシン。この二人の条件で身体距離をどう詰めるかの描き方がうまかった。ルーがウィルの髭を剃るシーンが、ああ、まあ、もう。

主題が議論を呼ぶものなので、賞レース関係は難しそうですが、なかなか、いい映画でした。

ダウントンアビーのお騒がせベイツ役のブレンダンコイルがお父さん役。