『カルテット! 人生のオペラ』

カルテット! 人生のオペラ』見ました。ダスティン・ホフマン初監督作品。いやいや、油断してスルーするところでしたが、音楽研究者の友人に勧められて慌てて映画館へ。行って正解、満足度の高い、いい映画でした。

『カルテット』のマギー・スミスと、『スカイフォール』のジュディ・デンチのどちらが、ザ・大女優ナンバー1なんだろう、とか、ヘレン・ミレンも『ヒッチコック』とか出るのはまだ(ああいう役をやる)時間的余裕があるんだなーとか、思った。マギー・スミススタンディング・オベーションを送りたい映画。

イギリスのカントリーハウスが音楽家たち専用の老人ホームとして使われていて、そこで、運営資金のためにガラコンサートを開く。 ・・本物の音楽家も多数登場します。

ガラでカルテット再結成を目指すのはマギー・スミス、トニー・コートネイ、ポーリーン・コリンズ、ビル・コノリー。 そして、山崎努三國連太郎かという(たぶん怪しげな傍流感がぬけないので前者)マイケル・ガンボンが、この演奏会のプロデューサーとして、ボス然とふるまっている(経済的にもかなり貢献してるんでしょうね。自分は音楽をしなくて、引退した財界の大立者、というかんじ>パンフが売り切れで委細不明)

カントリーハウスの家具、調度品がすばらしく、また、音楽もうれしい。

昨年見た『マリーゴールドホテルへようこそ』という映画が、同じようなベテランイギリス俳優そろえて(これもジュディ・デンチ、あとビル・ナイとか)インドのホテルで引退ライフを送るコメディだったのですが、これがどうにも私にはつまらなく、それで、『カルテット』もまた予定調和的なベテランお仲間映画かと思ってしまいました。予定調和なストーリーですが、細部の技がまさにプロ。音楽がいい。カントリーハウスの家具・調度品も楽しめる。

もともと舞台劇なので、台詞がきがきいていて、言葉のやりとりにしっかり仕事をさせている。"You are an artist. I am an artisan." 台詞の効果を待つように間をとるかんじとか。"dignified senility"を過ごそうとこのホームに来たのにと嘆くその言葉のくみあわせとか。 ”I love singing. I want to have a life. You can't have both." なども。

ところで、カルテットのひとりの、おしゃべりで女好きのウィルフを演じているビリー・コノリースコットランドの代表的俳優で、拙著『世界の英語を学ぶ映画』では、「スコットランド英語がきける映画」というコラムのなかで、コノリーが声優をした『メリダと不思議の森』だったかな、原題Braveをとりあげました。今回も、このひとだけ文末イントネーションがちがいます。wee=少し、もつかってたしね。

イギリスファン、クラシック音楽ファン、必見!

映画 カルテット!人生のオペラ・ハウス オリジナル・サウンドトラック

映画 カルテット!人生のオペラ・ハウス オリジナル・サウンドトラック