『「地球の歩き方」の歩き方』がおもしろかった!

読書メモ『「地球の歩き方」の歩き方』山口さやか、山口誠著
新潮社 2009年11月刊。

個人旅行のバイブル的ガイドブック『地球の歩き方』が生まれた経緯と、その変遷を、同時代の社会的背景と結びつけながら、100時間にのぼる関係者へのインタビューをもとに明らかにした本。

おもしろかったです!

著者の一人である社会学者山口誠先生の『英語講座の誕生』(講談社メチエ)がおもしろく、数年前にゼミでも読みました(同姓ですが偶然です^^)。なので、この本の広告を数日前に新聞で見つけて購入しました。

地球の歩き方』は、そもそも、バックパッカーのための「自由旅行」が商品として販売していたときの無料パンフレットだったという話や、ライバル会社リクルートとの攻防戦や。1970年代、1980年代、1990年代という時代の空気の変化と、「地球の歩き方」の変化。日本人の海外旅行に対する姿勢の変化など、興味深かったです。小口が青いのはなぜか、ということなども。

私自身、1985年に初めて海外旅行をしたときはJTBのヨーロッパ4カ国二週間ツアーでした。そのあと1987年に、語学研修+個人旅行で三カ月。そして、1991年に、大学院留学し、そのあとは、海外がぐっと近くなったかんじで、飛行機のチケットを旅行社で買って、あとは自分で手配してという感じで、旅行するようになりました(その後、ネットで航空券も買えるようになるわけですがー)。

学生時代は『地球の歩き方』的なものに、なんとなく反発していて(その理由も、今回この本を読んでわかった気がしました)、敢えて別のガイドブックをもっていったし、スーツケースで行ったんでした。けれど反発しながらも、ずっと『地球の歩き方』はそばにあったし、意識していたと思います。

「パスポートは自分でとれる!」が『地球の歩き方』刊行当時のコピーだったとありましたが、まさに、そういうことも、私自身の、海外旅行歴を振り返り、実感としてよくわかりました。1987年に、語学研修を受けるのに、業者に頼まずに自分で手紙を書いたのは、なかなか大変でしたが(メールはもちろん、ファックスも一般的ではなかったので)、でも、そういうことをやってみようと思ったのも、海外のことも自分でできる、という空気になっていたからだと気がつきました。

自分の海外旅行歴を振り返るとともに、大学生の海外旅行の変遷などについても考えることができたエキサイティングな本でした。

「地球の歩き方」の歩き方

「地球の歩き方」の歩き方