聖パトリックの祝日、カリブ海モンセラート

歴史学科の川分圭子先生(イギリス史)が代表者を務める科研費研究課題「カリブ海旧イギリス領諸国における植民地時代の事物の現存と歴史的記憶」の調査で、東カリブ海英領モンセラートに来ています。モンセラートには、昨年10月に京都で「カリブ英語とその起源」講演をしていただいたロンドン大学名誉教授ジョン・ウェルズ先生の別荘があり、御邪魔させていただきました。また先生のご厚意で、地元のお祭り、聖パトリックの祝祭にも参加することができました。心よりお礼申し上げます。

3月17日は聖パトリックの祝日。聖パトリックはアイルランドキリスト教を広めた聖人で、3月17日は命日にあたります。アイルランド共和国では祝日になっていて、アイルランド系移民の多いところでもフェスティバルが行われています。緑色のものやシャムロック(三つ葉)を身につけて参加します。オレンジと緑のタータンチェックは「ナショナルドレス」の柄です。


モンセラートはアイルランド系白人のプランターや労働者が多く、彼らには3/17聖パトリックの日を祝う習慣がありました。そして白人が祝祭の日を狙って黒人奴隷が反乱を起こしたのが1768年3月17日。今年はその250周年にあたる、特別な年でした。


とはいうものの、聖パトリックの日が国の祝日になったのは1985年、一週間かけて祝祭イベントをするようになったのは1995年と比較的新しい伝統です。私たちもSomething green.を身に着けてくるように言われ、緑服で参りました。 写真は、フェスティバルを案内してくださったウェルズ先生のご友人でモンセラート出身ロンドン在住のエミリーさんと。一緒に歩いていると、たくさんの人がエミリーさんに声をかけ、How are you? I'm good.ハグ!のような流れになるので、一緒にいる私たちも傍観者ではなく中にいるように感じました。そして、Good afternoon! How are you?と声を掛け合うひとのなかには、知り合いではない、まったくのすれ違っただけの人も多いとか(逆にいうと、知り合いならば、立ち止まってハグしたりする)。カリブ諸島のなかでもとりわけフレンドリーなモンセラート気質、ということでした。